LIFE

新型コロナ緊急特集

病院前に冷凍車が並ぶ…NYの読者が体験した現実【新型コロナ緊急特集】

  • 高見澤恵美

2020.04.07

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【30代・40代】海外で暮らすLEE世代の一般女性は「新型コロナウイルスの流行拡大」に何を感じているの?(3・アメリカ<ニューヨーク市>編)

©︎Ruth Lee

新型コロナウイルスの流行が私たちの暮らしに大きな変化をもたらしています。海外に生活の拠点を置くLEE読者は、どのような日々を過ごしているのでしょうか? 第3回は、アメリカ・ニューヨークで暮らす読者のリアルな体験談をお届けします。

■年代:30代
■職業:銀行員
■場所:アメリカ(ニューヨーク)
■永住

(※4月5日《日本時間AM2時まで》の読者への取材による内容です)

遠いアジアでの流行だったはずが……今では友達の元カレも感染

ーー新型コロナウイルスの流行拡大は、生活にどのような影響を与えましたか?

「3月1日にニューヨーク市で最初の感染者が確認されてから、感染者は爆発的に増え、4月4日現在では感染者5万人を超え、死亡者1800人を超えたことが確認されています。アメリカの感染者のうち約20%はニューヨーク市(州ではなく市だけで)で占めているとのデータもあるようです。

2月下旬、3月上旬は日本へ旅行した社員が2週間の自宅待機を命じられたり、数人ですが自主的に在宅勤務を始める同僚などもいて、徐々に新型コロナウイルスの影響がでていましたが、自分の生活にはそれほど大きな影響は感じていませんでした。

それが大きく変わったと感じたのは、3月13日、トランプ大統領が国家非常事態を宣言してからでしょうか。ルームメートから昼にも関わらずスーパーが激混みとの連絡が入り、その他の友達からもスーパーの前の行列のビデオが送られてきました。仕事の後にスーパーに行くと、数日前はあったパンや冷凍食品の棚が空になっていて、新型コロナウイルスの影響を強く感じました(流通は止まっていないので、数日で空の棚はいっぱいになり、食料が足りないといことはないし、パニックになっていることもないです)。

ただ、現在はスーパーへ人数の入場制限があり、お店の前の列もSocial Distancing(人との間に1.8mの間隔をあける)を保ち、お店に入る際は手を消毒することが徹底されています。

また、アメリカではマスクは病気の人がつけるものという考えが強くあり、街でマスクを見ることはいままでほぼなかったのですが、アジア人以外の人もマスクをつけるひと(それにゴム手袋も!)が日に日にまし、今までマスクをつけてもコロナ予防の効果はないと言い続けていたあのCDC(アメリカ疾病予防管理センター )までもが新型コロナウィルスの感染拡大を抑えるために病気であるかないかに関わらずマスクをしたほうがよいと見解を変えました。 これは本当に大きな大きな変化だと思います。ただし、3月初旬からマスクも手の消毒剤もどこも売り切れで売っていませんが。

私は3週間前から完全に在宅勤務になりました。ニューヨークであることも関係あるのかもしれませんが、緊急の事態にそなえた在宅勤務の訓練、実施は頻繁に行われていたため、自宅勤務への移行は比較的スムーズにいったように思います。ただし、こんなに長い期間なるとは予想しておらず、同僚とも話したのですが、オフィスに行って勤務するより、在宅勤務のほうが確実に長時間働いています(いつもは9時から17時のお気楽OLだったのに、今では8時から23時くらいまで働いています)。

街はスーパー、病院、薬局など生活に不可欠なものを除きすべてしまっている状況です。みんなが在宅で働けるわけではなく、サービス業の方など多くの人が働けない状況です。友達の彼氏は美容師なのですが、3月の予約はすべてキャンセルの上、お店も開くことができず、3月のお給料はゼロで、今後どう家賃を払うか心配していました。経済支援として、年収$75000以下のアメリカ人には$1200が支払われることが発表されましたが、もちろんビザで滞在する人は対象外となります」

ーー感染者が身近な人にも迫ってきて、他人事ではないというのが現状でしょうか?

「はじめはニューヨークで感染者がでた、あのビルで感染者がでたとの情報が、次第に友達の会社の同僚3人が、友達の元カレが、そして同僚が感染もしくは感染の疑いがある……と、身近な人への感染が確認され他人事ではなくなっています。

セントラルパークに野外病院のテントが建てられたり、大きいイベント施設がコロナ感染者のための緊急病院として利用されたりとのニュースをみても非現実的すぎてはじめの頃は受け止めれきれなかったのですが、大きい病院の近くに住んでいる友達から、病院の前に駐車されている冷凍車(普段は食料を運ぶのに使われますが、今はご遺体を安置するのに使われています)の写真が送られてきたときにすごいことが起こっているのだなと実感しました」

「友人が今撮って送ってくれた写真です」©︎Ruth Lee

「こちらも今届いた写真。冷凍車が並んでいます」©︎Ruth Lee

スーパーで働く人、医療関係者に毎晩拍手を!

ーー医療崩壊が起きているとも報道されていますが……?

「そうですね。医療関係者の第一線で対応している人は本当に大変そうです。こちらでは毎晩7時になると、医療関係者や、スーパーで働く人に向けて拍手をしています。

ニューヨークでは、今まで違法滞在など医者にかかりづらかった人が、コロナの疑いで初めて病院に行き、そこで他の疾患が見つかり手遅れに……というケースも増えているそうです」

ーーニューヨークにおける新型コロナウイルス対策で心配なことは?

同僚2人がアジア人差別に会いました。1人は日本から4か月前に来たばかりの駐在員。早い段階で在宅勤務にして家から出ないようにしていたのですが、気分転換で久しぶりに外にでた際に、『コロナ!』と呼ばれ、ショックを受けていました。

また、ほかの同僚は、WholeFoodsという高級スーパーで、アジア人という理由で、会計を断られたそうです。お店のマネージャーに訴えたものの、対処してもらえず泣き寝入りをしたそうな。ニューヨークはほんと人種のるつぼでいろんな国から来た人がいるし、私自身も13年ニューヨークに住んでいますが、今までこのような経験がなかったので、2人から話を聞いたときはとてもショックでした



家にいることが誰かの命を守ることに

ーー日本における新型コロナウイルス対策で心配なことは?

「ニューヨークはコロナウイルス感染の中心部になっているので、日本より安心だと思うことはないのですが、日本がニューヨークのような状態にならないように祈るばかりです。友達がいまだ満員電車で出勤してるのを聞くと本当に心配になります。

アメリカではSocial Distancing、手洗いという言葉を毎日耳が痛くなるくらい聞きます。ルームメイトが2人いるのですが、自宅にいるときもSocial Distancingを取るようにしています」

4月6日《日本時間昼12:00》追記:このインタビューを受けた翌々日(6日)に会社から、同僚の方がコロナ感染でお亡くなりになったとのメールがありました。オフィスの場所が違ったため、直接お会いしたことはありませんでしたが、メールで何度かやり取りをさせていただいたことのある方です。 昨年ご結婚されたばかりの30代で、コロナの感染の症状がでてからお亡くなりになるまで1週間の早さだったそうです。今はショックで言葉が見つかりません。

感染拡大を止められるかは、一人ひとりの責任ある行動にかかっています。日本でも緊急事態宣言の表明が近いうちになされるとのニュースを見ました。日本の皆さんもこれから不便で不自由な生活を余儀なくされることになるかもしれませんが、あなたの責任ある行動が誰かの大切な人の命を救うことになります。だからStay home to Save lives」


次回はオランダ在住読者の声をお届けします。

高見澤恵美 Emi Takamizawa

LEEwebエディター・ライター

1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。

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