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新型コロナ緊急特集

戦争に例えて自粛・テキサスで体験した現実【新型コロナ緊急特集】

  • 高見澤恵美

2020.04.08

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【30代・40代】海外で暮らすLEE世代の一般女性は「新型コロナウイルスの流行拡大」に何を感じているの?(5・米国<テキサス州ダラス>編)

新型コロナウイルスの流行が私たちの暮らしに大きな変化をもたらしています。海外に生活の拠点を置くLEE読者は、どのような日々を過ごしているのでしょうか? 第5回は、アメリカ・テキサス州ダラスで暮らす読者のリアルな体験談をお届けします。

■年代:30代
■職業:会社員
■場所:アメリカ(テキサス州ダラス)
■永住

(※4月3日《日本時間PM20時》までの、読者への取材による内容です)

家から一歩も出なくなって3週間

ーー新型コロナウイルスの流行拡大は、生活にどのような影響を与えましたか?

「はじめは、ロサンゼルスやニューヨークやシアトルなどの都市部で広がり始め、人の行き来が激しく公共交通機関を利用する人が多いエリアで影響が出ているのかなと思っていました。その後アジア人差別が始まり、幸い私は視線を感じる程度でしたが、場所によっては暴行に遭ったり、歯医者を断られたりしたという話を耳にしました。

娘は学校で唯一のアジア人なので差別に遭っていないかとても心配でした。たまに中国人かお友達から聞かれることもあったようで、本人はまだそんなに理解してはいないものの、アメリカ人よと答えながらもとても苦しい思いをしました。

感染が広がり始めた地域で学校が休校になったことを受けて、ダラスではまだ感染者はいませんでしたが、その1週間後から娘も休ませることにしました。嫌な予感がしたので、貯蓄できるパスタやパスタソース、お米、必要不可欠なオムツやトイレットペーパーなどを買い出ししました。そうしたらその翌週WHOのパンデミック発表を受けて、スーパーからあらゆるものがあっという間に消えました。たった1週間の差でしたが、早く動いてよかったなと思いました。

娘が学校を休むことを受け、私も在宅勤務を始めました。次第にアメリカ全土に広がり始め、感染者が多い地域のブロックアウトが始まりました。私が在宅勤務を始めた翌週から主人も在宅勤務になり、その翌週からは州から自宅待機命令が出されました。家から一歩も出なくなって約3週間になります。生活が一変し、外で遊べない子供の健康面も勉強面もとても不安ですし、仕事をしながらの育児、家事であっという間に毎日が終わります」

ーー具体的には、どのような自粛生活を過ごしていますか?

「スーパーへの買い出し以外は外に出られません。買い出し以外の目的で外へ出て警察に捕まり罰金を取られた人もいるようです。家にある蓄えを毎日消費していく生活です。

仕事は必要に応じてテレビ会議をし、娘は出来るだけ学校と同じタイムスケジュールで動かせています。必要なものはAmazonなどでネット注文しています」

休校で学校も習い事もあっという間にオンラインに

ーー新型コロナウイルス対策で、日本とダラスではどのような点が異なると感じますか?

「アメリカは保険未加入者が多いため、病院に行けない人が多かったことがコロナが広まってしまった一因だと思います。その点、コロナに限らず日本は国民健康保険が充実しているので、医療制度は圧倒的に日本の方がよいと思います。

しかし、感染者が増えたことによりコロナの検査を全国民無料にしたり、エリアを絞って病院やホテルでのケアを解放したりと政府の判断は圧倒的に日本より早いです。補償に関しても収入に対して何%の寄付金だとか公明正大に決まります。

学校の休校を受けて授業や習い事もあっという間にオンラインに切り替わり、アクセスすれば向こうに先生がいる状況です。質は落ちるかもしれませんが、払ってしまっている費用もありますし、知っている人と今まで通り繋がれている安心感はあります。図書館での無料ラーニングも受けられます。その辺りはさすがアメリカという早さです」

ーーダラスにおける新型コロナウイルス対策で心配なことは?

「刑務所の人口密度が上がらないように、少しの犯罪程度では警察は逮捕しないとニュースになっていました。治安の悪化は心配です。またコロナを受けて銃の売り上げが急増しているようなのでその点も心配です。失業率が上がっていることも治安の悪化につながるのではないかと思っています」



現状を戦争に例えている欧米に比べ、日本の危機意識の低さを感じる

ーー日本における新型コロナウイルス対策で心配なことは?

「アメリカやヨーロッパは今の現状を第二次世界大戦に例えているニュースも多いです。その時のように、国民一人一人が意識を持って行動すべきと訴えています。確かに世界中で沢山の方々が亡くなられている中で、日本の方々がお花見などをしている映像をみると愕然としますし、未だに満員電車なことにも意識の低さを感じます。投票率の低さにも繋がりますが、もう少し若者はじめ節度ある行動をとって欲しいなと思います。
アメリカやヨーロッパでもコロナ疲れによるDVや児童虐待の割合が上がってきていますが、旦那さんが夜遅いのが当たり前の日本は結構大変なのでは無いかと思います。DVや児童虐待自体の認識も国として低いですし、拠り所をきちんと増やさないと行けない気もします。
幸い我が家は田舎ゆえに家が広いので、家の中でも子供は走り回れますが、都市部や日本の住宅では長期間の自粛は本当につらいと思います。
国の違いの話になってしまいますが、アメリカは各州が割と高い決定権を持っているので、州ごとの対策をいち早くとることができるというのが国民の認識につながるのかもしれません」

次回はアメリカ・ボストン在住読者の声をお届けします。

高見澤恵美 Emi Takamizawa

LEEwebエディター・ライター

1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。

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