東日本大震災から5年・・・被災ママたち、それぞれの今

「着の身着のまま逃げたあの日から、 自分の中に時計を2つ持って生きています」

LEE編集部

東日本大震災からもう5年、まだ5年。
あなたはどちらに感じますか?

あの日、被災地にいたママたちは、どんな状況でどんな思いで5年目の日を迎えるのでしょうか。LEEは、彼女たちの心に寄り添い取材を続けてきた方に、取材先で出会ったママたちを紹介していただいて会いに行ってきました。

強制避難になった人、福島に住み続ける人、自主避難を選んだ人。
置かれている状況や選択の理由はそれぞれですが、子供たちの未来を思っての行動なのはみんな同じです。どうか彼女たちのこの5年間の思いを感じて、彼女たちとの心の距離を近づけていただければうれしいです。

撮影/高村瑞穂 取材・文/石川敦子
この記事は2016年3月7日発売LEE4月号でのインタビューを再掲載したものです。


福島インタビュー1-1

PROFILE
鈴村ユカリさん
福島→名古屋
すずむら・ゆかり●神奈川県出身。43歳。
名古屋出身の夫と出会い、結婚。ユカリさんの父親が経営していた、福島原発のメンテナンス会社を夫が継ぐため、’05年、家族で福島県富岡町に移住。現在、長女が中学3年生、長男が小学6年生、次男が小学4年生。


原発が爆発? 突然、悪夢の中に投げ込まれた

目の前に海が広がり、車で30分走れば阿武隈(あぶくま)山脈が見える。

「自然のあふれる福島で、家族みんなが笑顔の多い人生にしたいね」

一大決心で、名古屋から富岡町への移住を決めたという鈴村家。築50年の古民家を買ってDIYやガーデニングを楽しみ、友達を作り、着実に福島に根を張っていったのが震災前の5年間でした。

3月11日は東京の祖母が危篤との知らせを受け、出かける寸前に被災。

長女は小学校、長男は自宅、次男は保育園、福島第一原発のメンテナンスに携わる夫は屋外で作業中でしたが、その日のうちに全員、顔を合わせることができました。

「夫は『原子炉が止まって予備電源が動く音を聞いたので大丈夫』と。家はぐちゃぐちゃだったので、その日は家族で車の中で寝ました。ところが朝5時頃、『全町民避難』という防災無線が流れたんです。夫は町の消防団員でもあったので、すぐに招集され、私は子供たちを連れて西の川内村へ向かいました。そのときは数日したら戻ってくるようなつもりで、荷物はとりあえずの着替えだけでした」

原発よりも余震におびえる中で、12日に安定ヨウ素剤が配られ、避難所の体育館の窓が目張りされていきます。間もなく上空は飛行禁止区域になり、物資も途絶えました。

「その頃の写真があるのですが、町民が普通の格好をしている中で、消防団員の人たちが防護服を着て立っている。今思えば異様な光景でした」

原発の状況を説明されても、さっぱりわからない。知りたいのはここにいていいのか悪いのか。けれども考える隙もないほど、事態は悪いほうへ悪いほうへと転がっていきます。

15日。「もう、ここも危ない」と川内村と富岡町は決断し、行き先も決まらないまま住民の避難を開始。
鈴村家はまず東京へ向かいます。到着したのは祖母の葬儀が終わった後。親族が集まる忌中払いの席でした。

「着の身着のままボロボロになって逃げてきた私たちの前にごちそうが並んでいて、そのギャップに現実感がありませんでした」

その後4日間、ユカリさんの横浜の実家に身を寄せ、20日から名古屋の夫の実家に向かいます。
たどり着いた名古屋では、みな「普通」の生活をしていました。

「横浜では夫が毎朝4時から並んで少しずつ名古屋に行くガソリンをためました。それが、福島から離れれば離れるほど震災の影響を感じなくなっていき、名古屋に着いたらもう何事もなかったように普通。そのことがショックで、ショックで……」

もともと住んでいた名古屋には友達もいましたが、以前と同じように一緒に楽しくはしゃぐことはできませんでした。4月、富岡町の家の一帯が、立ち入ってはいけない「警戒区域」に。そのことを知ったのはテレビのニュースでした。

「とんでもないことになった。自分の中でまったく整理ができませんでした」

6月、夫は名古屋で職につきます。住民票は富岡町のまま、しばらく夫の実家で世話になり、借上げ住宅制度(仮設住宅と同じ扱いで、民間住宅の家賃を福島県が負担する制度)ができてから近くの集合住宅に引っ越し、今に至ります。

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