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藤原千秋

【新型コロナ対策】「アルコールがもう売られてない!」焦らないでできる3つのこと

  • 藤原千秋

2020.02.29

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「アルコールがない!」「どうしよう?!」

新型コロナウイルスの影響で、もう一か月近く、街中やインターネットから「マスク」とともに、「消毒用アルコール」「消毒用エタノール」が姿を消していますね。
ママたちのなかには、もともとキッチンなどのお掃除利用のために、「キッチン用アルコールスプレー」の類を買い置きしていた、という人もいるかも知れません。でも、これからインフルエンザ対策、ノロウイルス対策として買わなくちゃ! と思っていた矢先に、こんなふうに市場から無くなってしまったら、焦りますよね…。

でも、慌てないで! 慌てて、悪質な転売で高額なものを買ってしまったり、間違った商品を買ってしまわないで!

大事なことを、なるべく噛み砕いて3つ、お話しします。

大丈夫。まだできること、ありますよ。

1つめ まず基本的なこと。「エタノール」は「アルコール」の一種です。でも「アルコール」の全てが「エタノール」ではありません。注意。

テレビなどで「アルコール消毒を!」と聞くと、「アルコールじゃないとダメなんだ…」などと思ってしまいますよね。

 だから「エタノール」と聞くと、違うものなのかも? と感じてしまうこともあるかも知れません。

でも、こと、消毒を目的として使う場合でいえば、「エタノール」は「アルコール」と同じ、と考えていいです。

 「消毒用エタノール」は「消毒用アルコール」と同じ、です。

それから、「エタノール」「無水エタノール」という名前で、ドラッグストアに売られているものも、消毒に使えます。

 ただし、これは純度が高すぎて揮発(乾いて)しやすいので、自分で水で薄めて、乾きにくくすることで菌やウイルスをやっつけられるようにする必要があります。一手間かかります。

 水1に対して「エタノール」「無水エタノール」3の割合(目安)になるように希釈して使います。それ以上薄くしてしまうとダメです。

 また、「消毒用アルコール(エタノール)」として売られているものを薄めてしまうのもいけません(もうすでに薄まっているのが、「消毒用アルコール(エタノール)」なので)。

ちなみに「キッチン用アルコールスプレー」「トイレ用アルコールスプレー」といった商品を手に使ってはダメかというとそんなことはありません。ただアルコールも決して「無害」ではなく、手の皮膚の皮脂を取ってしまい、荒らします。あまり固執しないのも大事だと思います。

いっぽう「アルコール」のなかには、絶対に消毒に使ってはいけないものもあります。「メタノール(メチルアルコール)」というものです。

これは、ホームセンターやドラッグストアにも売られているので、間違えてしまう人もいるかもしれませんが、大変に危険な毒です。なんのために売られているかというと、燃料としてです。理科でアルコールランプを使ったことがありますね。あの燃料の「アルコール」です。まぎらわしい名前ですが、「メタノール」は消毒には使えません。なので買わないでください。

2つめ 「皮膚」ではないものなら、「アルコール消毒」以外にも方法があります。

私たちにできる新型コロナウイルス対策の中で、「消毒用エタノール」「消毒用アルコール」を使わないといけないというのは、手指など皮膚の消毒をしたい場合だけです。
テーブルや、ドアノブや、手すりや、スイッチなど、

 「手が触れる場所」「もの」

 の消毒につかうのであるならば、その多くに、

 薄めた「次亜塩素酸ナトリウム」が使えます。

掃除をする女性の手元


「次亜塩素酸ナトリウム」は、そのものずばりを薬局で買わなければ! と意気込まなくても、多くの洗濯用、キッチン用など「塩素系漂白剤」、お風呂の「カビ取り剤」といった商品の主成分ですので、世の中にたくさんたくさん売られています。

こんな騒ぎになっても、ドラッグストアで全部売り切れているところを私はまだ見たことがありません。逆に言うと、どういったものの主成分が「次亜塩素酸ナトリウム」なのか、まだ情報が行き渡っていないということなのかもしれません。

ただ「次亜塩素酸ナトリウム」は「消毒用エタノール(アルコール)」のように皮膚には使えません。絶対に使ってはいけません。

 また酸性洗剤や、酸(レモン、ビタミンC、お酢など)のそばで使ったり、一緒に使ったりしてはいけません。有毒ガスが発生して最悪の場合死に至る恐れがある程度には危険なものです。

「次亜塩素酸ナトリウム」は、配合されている商品によって、濃度が異なるので、テーブルなどの消毒に使う際にはある程度安全かつ効果を失わない程度に、適切に薄める必要があります。

目安は「1000ppm」です。「次亜塩素酸ナトリウム0.1%水溶液」という状態に希釈します。

 洗濯用の「塩素系漂白剤」のうち、次亜塩素酸ナトリウム濃度が10%という商品がありますが、その場合1リットルの水に10ミリリットル溶かす計算になります。(10ミリリットルというのは、ペットボトルキャップ2杯分が目安です。)

だいぶ薄いとはいえ、漂白効果があるので、衣類に付着すると色が抜けてしまったり、手に着くと皮膚のタンパクが溶けてヌルヌルしたり、目などに入ると失明の恐れがあるので注意して作成、使用してください。また作った水溶液は、時間が経つと効果が薄れますので、すみやかに使い切ってくださいね。



3つめ 「消毒剤」が無くても、手洗い、掃除、加熱という方法があります。

私たちは「絶対に」四六時中アルコール消毒を手指に施さなければいけないというわけではありません。たとえばべとべとの汚い手にアルコールをいくら擦り付けてもあまり効果は期待できません。

 こまめに流水での「手洗い」をすること、そのさい石けんを使ったり、爪の中までしっかり洗ったりということのほうに注力したほうが現実的ではないかと思います。ただ、出先の公衆トイレなどは新型コロナウイルスのみならず、ノロウイルス等にも汚染されている可能性が高いので、なるべく水栓などに手を触れないように気をつけて使ってください。

またこれは私見なのですが、トイレ設置の「エアドライヤー」「ジェットタオル」の類の使用はあまり安全ではないように思います。濡れた手は億劫がらず自分で持参した清潔なハンカチやタオルで拭き取るようにしましょう。

家の中の「もの」には、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒に適さない場所もたくさんあります。金属でできたものは変色、腐食しやすいです。また布もの、布ソファや布団やじゅうたんなども変色劣化しやすいので適しません。

 ここで子育てをしていてすでに「ノロウイルス」対策をした経験がある人にはピンとくるかも知れませんが、そういった「次亜塩素酸ナトリウム」の使用ができない箇所は、汚れに含まれたウイルスを取り除く意味での「拭き掃除(拭き取り)」に加えて、「加熱」という消毒方法があるので、火傷に気をつけ、煮沸したり、スチームアイロンやスチームクリーナーといった道具を、できるところで取り入れてみてもいいと思います。

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住宅アドバイザー・コラムニスト

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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