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災害時にも大活躍な給電機能のあるクルマ! 三菱のアウトランダーPHEV

  • スーザン史子

2020.01.19

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2019年は台風による大雨が各地を襲いました。9月8~9日にかけて首都圏を直撃した台風15号も記憶に新しいところ。この台風では静岡県や関東南部を中心に、一時、93万戸を超える大規模な停電が発生し、多くの方が被災されました。

そんな中、被災地で活躍していたのが、三菱自動車のプラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」です。

アウトランダーPHEVってどんなクルマ?

アウトランダーPHEVは、日本で数少ないSUVタイプのプラグインハイブリッド車(PHV)です。

そもそも、プラグインハイブリッド車とは、外部給電設備を備えたハイブリッド車の進化版のこと。電池容量を大幅に増やしているため、近距離ではEV走行をメインにすることで経済的に、遠距離ではガソリンエンジンを使って走ることで、充電量を気にせず走ることができるというメリットがあります。

ガソリンの給油口とは反対側に、給電設備が備わる。

一言でプラグインハイブリッド車といっても、エンジンの排気量やバッテリーの容量はメーカーによって異なっています。

三菱のアウトランダーPHEVは、2.4リッターのガソリンエンジンのほか、高出力モーターと大容量バッテリーを搭載し、満充電からの「EV走行」では57.6km走ることができます(カタログ記載値・WLTCモード)。

バッテリーに充電されている電気を使って走る「EV走行」、エンジンで発電した電気を使ってモーターで走る「シリーズ走行」、エンジンの駆動力とモーターを併用して走る「パラレル走行」という3つの走行モードを自動で選択しながら走ることができるほか、S-AWCという独自の4WDシステムが採用されているので、雪道や悪路に強いというのも特徴です。

とりわけ災害時に役立つと注目されているのが給電機能です。大容量のバッテリーに加え、エンジンで発電する機能を使うことにより、屋外でも家電製品が使えるんです。

アウトランダーPHEVには1500wのAC電源が2つ備えられている。写真は後席前に設置された電源。

 

荷室右側にももうひとつ電源が設置されている。

先日、三菱自動車が行ったデモンストレーションでは、2台のアウトランダーPHEVに電気ポット、テレビ、DVDプレイヤー、ドライヤー、炊飯器といった5つの家電を同時につなぎ、炊き込みご飯が炊ける様子も紹介されました。

 

被災地でのアウトランダーPHEVの活躍

 では、実際に災害現場でこのクルマがどのように活躍したのか、現地で活動したサポートメンバーのリポートを元にご紹介します。

台風の被害が徐々に明らかになってきた9月11日。三菱自動車・国内営業本部のサポートメンバーは、「アウトランダーPHEVを派遣すれば、何か役に立つはず」という思いで、千葉県の災害対策本部に連絡。翌12日には、行き先未定のまま6台で海ほたるPAへ向かい、その後返事をもらった鋸南町役場からの要請で、2台で町内にある特別養護老人ホームへ急行します。

現場に到着すると、食事は届いていたものの停電中で建物内は真っ暗、電化製品も使えず入居者や介護スタッフの方がとても困っていました。

そこで、まずは照明を確保し、冷蔵庫や電子レンジなどの電力をまかないました。明かりが灯った瞬間には、その場にいる人たちから拍手が起こったそうです。

照明や冷蔵庫、ときどき電子レンジを使うといった使い方で2日間を過ごしてみると、満充電だった電気の減りは早かったものの、ガソリンの減りは想像以上に遅く、途中からは井戸水を入れながら洗濯機も回しました。入居者の2人には、1日1回、吸引器をつかって痰(たん)の吸引も行い、とても喜ばれました。

こちらの施設では、9月12日から15日まで泊まり込みで対応しましたが、15日の午後に電源車が到着したことで、4日間の役目を終えています。

 

一方、海ほたるPAで待機していた残りの4台は、12日に君津市の特別養護老人ホームへ向かいました。

到着してみると、3日間たまっていた入居者200人分の洗濯ものが大量に。そこで、4台の洗濯機と2台の乾燥機を稼働し続け、2日間にわたって洗濯し続けました。13日の夜7時に通電したことで、2日間の役目を終えます。

12日から15日までの4日間で、大きな施設はほとんど通電したことから、それ以降は停電中の一軒家エリアの訪問を主な目的として、市の施設等に車両の貸し出しを行い、最終的には合計6カ所の施設で、避難する人たちの生活サポートを行ったということです。

アウトランダーPHEVの特徴として、「アウトドアでも使えて便利。もちろん災害時にも役立ち、万が一のときにも安心」という知識は持っていましたが、実際に災害時で役立った実例に触れてみると、これまで以上に信頼感が増した印象です。

(次回につづく)

 

スーザン史子 Fumiko Susan

カージャーナリスト

出版社にて雑誌編集に携わった後、自動車ジャーナリストに転身。女性誌や専門誌、web等で、主に車関係の記事を執筆。10年に息子を出産、ママ目線での車の使いやすさにも注目するかたわら、安全運転講習の講師を務めるなど、クルマ生活に役立つ情報を提供している。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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