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峰典子

スリランカ天才医師のアーユルヴェーダ、「身体を整える、10の知恵」を学ぶ

  • 峰典子

2019.09.10

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アーユルヴェーダは、幸せで健康な暮らしのための教え

1年くらい前でしょうか。美味しいスリランカ料理に出会ってから、スリランカがマイブームな私。その文化にも興味津々です。スリランカ人の挨拶 “アーユボワン“とは 、アーユは「Life、人生、生命」を、ボーワンは「継続する、続く」を意味する言葉で「あなたの長寿をお祈りします」という願いがこめられています。

5000年の歴史をもつ世界三大医学のひとつで、「生命の科学」とも呼ばれるアーユルヴェーダは、幸せで健康な生活を送るための教え。スリランカの滞在施設でアーユルヴェーダの診察を手がける、Dr.ディネッシュが来日するとの噂を聞きつけ、講義と問診を受けてみることに。果たして、アーユルヴェーダの真髄に触れられるでしょうか。

アーユルヴェーダとは、どんな治療法?

まず最初にドクターからアーユルヴェーダの基礎をレクチャーしてもらい、それから基本の呼吸法を教えていただきました。現代のスリランカ式アーユルヴェーダと呼ばれているものは、スリランカの地に古来から伝わるパワフルなハーブやスパイスをたっぷりと取り入れた独自の伝統医療と、インドからきたアーユルヴェーダが融合したものだそう。スリランカの大きな病院には、アーユルヴェーダの先生と西洋医学の先生が両方いらっしゃって、対立するのではなく、お互いを認め合い、どちらが患者に適しているのかを考えながら治療していくのだとか。実際、Dr.ディネッシュも大学では西洋医学とアーユルヴェーダ、どちらも学んだのだといいます。

滞在型アーユルヴェーダを知っていますか?

アーユルヴェーダでは、病気を治すということだけでなく、予防も大事な側面。「体・精神・魂」の3つが共に健康な状態であることを目指します。このバランスを整えるために滞在するのが、アーユルヴェーダ施設です。この専門施設では、ドクターの診断のもと、その人の体質や体調に合わせて細かくプログラムされたトリートメントを、数日から数週間にわたり行い、その人本来の心身の状態に戻していくというもの。

スリランカではたくさんのアーユルヴェーダ専門施設がありますが、Dr.ディネッシュがドクターを務めるJetwingでは、「施術」「食事療法」「ハーブ薬」「ヨガ&瞑想」「睡眠」「占い」などを、ゆったりとした時間の中で楽しむことができます。施術もいろいろ。滞在の長いお客様には頭にオイルをたらす(これは日本でも有名ですよね!)シロダラだけでなく、ヴァマナ(オイルを嘔吐して胃を洗浄する)ヴィレーチャナ(ハーブの下剤でお腹の毒出しをする)ナスヤ(鼻をオイルで洗浄する)パスティ(オイル浣腸)といった治療法が行われます。気になるものがいっぱい!



いざ、ドキドキの問診へ

座学と呼吸法を学んだ翌日、ドクターとのコンサルテーション(問診)に伺いました。時間はおおよそ10分くらいだったでしょうか…。片手で脈診をとりながら、もう一方の手をおでこにそっと当て、体調を読み取るというもの。これが、驚くものでした。Dr.ディネッシュの診断内容は、まるでCTスキャンで検査した時のような詳しさだからと「Dr.CTスキャン」の異名をもつと聞いて納得。

ご存知の方も多いと思いますが、アーユルヴェーダでは人は大きく3つのエネルギー、カッパ、ピッタ、ヴァータを持っていると考えられており、個人によってこのエネルギーのバランスが異なり、どのエネルギーがより多いかによって、体質が分けられます。例えばカッパが一番多く、次にピッタのエネルギーが強いと、カッパピッタといった体質に分類されます。

Vata(ヴァータ)=風
Pitha(ピッタ)=火

Kapha(カパ)=水
というドーシャの3つ性質のバランスが良い状態(=生まれた時のエネルギーのバランスに近い状態)が健康ということになります。

ドクターは読み取った後すぐに身体の絵を描いて、上からひとつずつ問題点を記し説明をしてくれます。そしてメモした項目についての問診が30~40分つづきます。疲れやストレスからの頭痛があるのでは、腰痛はどうか、皮膚がセンシティブだ、鼻が狭くてドライ、アレルギーなのでは?などと、次々に言い当てられた私。現時点では自覚はないものの、気をつけた方がいいかも、という箇所もあり、少しでも違和感を感じたら病院にいくようにとアドバイスをいただきました。

「時間をかけてゲストと気持ちを調和させていきます。おでこと脈に手を当てることで、具体的な形で見えるわけではありません。でも、コンディションを感じ取ることができますね」とドクター。

私の問診票をちらっとお見せします。

身体を整える、10の知恵

1 朝早く起きる
2 白湯を飲む
3 深く呼吸する
4 軽いストレッチ
5 トイレを我慢しない
6 時間と量を守った栄養豊富な食事
7 日に20分運動 (歩くだけでも、ヨガでも良い)
8 セルフマッサージ (スキンケアの時に肌をパタパタと叩く)
9 マインドフルな脳をいたわる
10  寝る環境を整える (スマホをベッドに持ち込まない)

アーユルヴェーダ施設に行けなくとも、家でできること、してほしいことをドクターにお聞きしました。アドバイスはこの10点。耳が痛いですが、無理しない程度に頑張ってみたいものですね。

インドでは医学だけでなく、科学や哲学、植物学を学んだというドクター

アーユルヴェーダの医師は「病気を診るのではなく、人を診る」というそうですが、優しさに満ちた問診だと感じました。記事の最初に書きましたが、スリランカの挨拶 アーユルボーワン「良い人生を」そのものなんですね。「感謝」や「おもいやり」の大切さを教えられるアーユルヴェーダ。気になった方はぜひ本場で滞在型アーユルヴェーダの体験を。

ジェットウィング・アーユルヴェーダ・パビリオン
お問い合わせ:ジェットウィング・日本オフィス  (Tel: 03-3476-7277 )

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Dr.ディネッシュ
国立コロンボ大学アーユルヴェーダ・メディスン&サージェリー卒業。2009 年にジェットウィン グ・ホテルズのアーユルヴェーダドクターに着任。現在はジェットウィング・アーユルヴェーダ・パビリオンズを含むジェットウィングの5つのアーユルヴェーダ・ホテルのチーフド クターとして、アーユルヴェーダ哲学に基づくバランスの取れたライフスタイルの普及活動、国内外からのゲストの診療、セラピストの育成活動に心血を注ぐ。

峰典子 Noriko Mine

ライター/コピーライター

1984年、神奈川県生まれ。映画や音楽レビュー、企業のブランディングなどを手がける。子どもとの休日は、書店か映画館のインドアコースが定番。フードユニットrakkoとしての活動も。夫、5歳の息子との3人家族。

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