映画ライター折田千鶴子のカルチャーナビアネックス

友を密告!? 信念を貫く!? 社会派青春映画 『僕たちは希望という名の列車に乗った』

とっても長身のラース・クラウメ監督が来日されました!

 

嬉しいことに、何とな~くヨーロッパ映画の盛り返しを感じている昨今ですが、中でもドイツ映画(合作を含む)がいい感じです。近々でも、昨年末に日本公開された『彼が愛したケーキ職人』(17)、今年の1月には『未来を乗り換えた男』(18)、2月には『ちいさな独裁者』(17)、そして4月には『希望の灯り』(18)と、佳作が続々と公開されています。

大作ではないけれど独創性もあり、心の襞に入り込むような繊細な作品が粒ぞろい! そして5月には、驚きと感動の実話を映画化した、『僕たちは希望という名の列車に乗った』という、長~いタイトルの作品が公開されます。

 

『僕たちは希望という名の列車に乗った』
監督:ラース・クラウメ
出演:レオナルド・シャイヒャー、トム・グラメンツ、ヨナス・ダスラ―、ロナルト・ツェアフェルト、ブルクハルト・クラウスナーほか
2018年/ドイツ/配給:アルバトロス・フィルム、クロックワークス
© Studiocanal GmbH Julia Terjung
公式サイト:bokutachi-kibou-movie.com
5月17日(金)Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

“ベルリンの壁”建設5年前の旧東ドイツの高校を舞台に、人生のあまりに大きな岐路に立たされた18歳の若者たちの“命がけの決断”を描いた作品です。

その驚きの実話を映画化したのは、17年に日本公開された『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』(15)のラース・クラウメ監督。前作が渋いテーマの作品だったので、勝手に老齢な方をイメージしていたのですが、とっても若々しいパパ監督でした。

本作にも出演している監督の息子さん2人を伴っての来日で、少年たちがあまりにキュートなので、一緒にご紹介!

監督・脚本:ラース・クラウメ(当然、真ん中の方)
1973年2月24日、イタリア・キエーリ生まれ。ドイルのフランクフルト育ち。
92年に短編「3:21」を撮り、ドイツ映画テレビアカデミー(DFFB)の在学中、短編映画「LIFE IS TOO SHORT TO DANCE WITH UGLY WOMEN」(96)がトリノ映画祭の短編賞を受賞。DFFBの卒論作品(テレビ映画)「Dunckel」(98)がグリンメ賞監督賞を受賞。『コマーシャル★マン』(03)で長編監督デビュー。『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』(15)がロカルノ国際映画祭・観客賞の他、数々の賞を受賞。

 

では、ざっとストーリーを。

1956年、東ドイツの高校に通うテオとクルトは、列車で訪れた西ベルリンの映画館で、ハンガリーの民衆蜂起のニュースを見ます。クラスの中心的な存在の2人は、早速みんなに報告し、授業前に命を落としたハンガリー市民に対して2分間の追悼を捧げます。ところがそれは、当時ソ連の影響下にあった東ドイツでは、国家への反逆行為とみなされてしまうのです。調査に乗り込んできた当局は、首謀者を炙り出そうとするのですが……。

 

ロシアと東ドイツの関係も複雑だったんだ

うわぁ、黙祷しただけで反逆罪だなんて……と驚いてしまいますし、本作でその後に描かれるような大事になるとは、夢にも思いませんよね!? でもその前に、壁が築かれる前の東ドイツって、思いのほか西と自由に行き来が出来ていたんだ、という事実にも驚きました。その辺りから監督にお話をうかがってみたいと思います!

――東ドイツが絡んだ映画というと、シュタージ(秘密警察)が登場したり、西へ脱出できるかどうかなど、緊張感がハンパない作品ばかりを思い浮かべてしまいます。壁が出来る前というのは、むしろ自由だったという状況が新鮮でした!

「確かに東ドイツというと、西で育った僕の記憶の中でも暗いイメージがあるよ。僕は73年生まれだけれど、思春期を過ごした80年代は冷戦という空気の中、西の僕らが脅威を抱く共産主義的というイメージが強いよね。僕も壁が出来る前の50年代の東ドイツについて、本作を映画化するために、どんな人物のどんな政治家が、どんな目的で建国したのか、から学んだよ。」

「西ドイツがアメリカに資本主義国になることを強要されたように、彼らもまた自ら選んで共産主義国になったわけではなかった。相当抗った若い世代も多かったようだ。興味深かったのは、第二次世界大戦でナチスがロシアに侵攻したため、ドイツ人に復讐心を持つロシア人が大勢いたし、冷戦時代には東ドイツを占拠しているロシア人に対し、かなり嫌悪感を持つドイツ人も多かった、ということ。暴力も含め、非常に複雑なんだ」

 

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Writer Profile

折田千鶴子

映画ライター/映画評論家

Chizuko Orita

栃木県出身。LEE本誌で映画&DVD紹介ページやインタビューを担当。その他、各種雑誌やWEBメディア、映画パンフレットなどで映画コラムや批評、取材記事を執筆。夫と10歳の双子男子の4人暮らし。愛犬を亡くし、家族でペットロス中。

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