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産前・産後の暮らしの些細な変化

ママ友=本当の友達!?「子どもの年代」でママ友づき合いはどう変わる?【産前・産後の些細な変化】

  • 高見澤恵美

2019.05.10

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妊娠未経験の女性や、初産を控えた妊婦さんの中には、「うまくつき合っていけるか心配……」と、不安を感じる人も少なくない「ママ友」という存在。

公園や学校などで、子どもを通じて知り合った母親仲間である「ママ友」。ここ10数年ですっかり浸透した表現ですが、この“友”という字がつく表現自体にも違和感を覚えたり、プレッシャーを感じる人も一定数いるようです。

「産前・産後の些細な変化シリーズ」、今回は、悩ましい「ママ友」のリアルについて取材。幅広い世代のママたちが「ママ友」という言葉に抱く印象や、「ママ友」づき合いで感じる“友”要素はどの程度であるのか調べました。

イラストレーション/カラスヤマミライ

「ママ友」という呼び名に疑問を感じるママ世代とは?

まずはこの「ママ友」という言葉自体への本音から。「違和感を覚えている」という意見が目立ったのは、新米ママ世代と、ベテランママ世代でした。

<新米ママ世代の意見>

・「世間話をする程度のつき合いなのに、友って呼ぶのはどうなのか? 友達という言葉の安売りじゃないの? と思いつつ、便宜上『ママ友』という言葉を使ったり、『ママ友』と呼ばれたりしてます。メール交換をするような友達らしい友達はいないので『ママ友』ゼロのぼっちともいえますけど、顔見知り程度でも『ママ友』と呼んでいいなら結構いる。判断に悩みます」(娘1歳のママ)

・「友という字が使われているから、何となく『うまく友だちづき合いをしなくては……』と焦りを感じてしまう。童謡『一年生になったら』の歌詞のせいで、100人の友達を作らなきゃ! とプレッシャーを感じた子ども時代に似た心境」(娘0歳のママ)

<ベテランママ世代の意見>

・「子どもたちはもう私をオカンとかお母さんと呼ぶのに、『ママ友』と呼ばれることに抵抗がある」(息子24歳&娘23歳のママ)

・「私たちが育児をしていた頃は、ママというと、サザエさんくらいの年代まで、若いお母さんの呼び名という印象がありました。25歳を超えてからは、外で子どもにママと呼ばれるのも恥ずかしかったんですよ。子どもの同級生からは『○○ちゃんのおばちゃん』と呼ばれていたし、自分たちのことをかわいらしいイメージのママ呼びするなんて厚かましいと思っていましたね(笑)。今のお母さんは、年齢関係なくきれいにしている人が多いから、自分たちをママや『ママ友』と呼ぶことに躊躇しないんじゃないですか? 高齢化社会で、お母さん世代の意識が変わったんだと思いますよ」(娘44歳&41歳、息子37歳のママ)

・「外でママと言うと、クラブのママを連想してしまう。職業名という認識。ママ友は、クラブのママ同士の呼び名かと勘違いされません?」(息子45歳・娘39歳のママ)

新米ママ世代は、友という言葉に戸惑いを感じながら使う人が一定数存在、ベテランママ世代は、ママ呼びに違和感を覚える人が多いという結果となりました。

一方で、「ママ友」という言葉を受け入れ、現在進行形で使用しているママは、2、3歳~大学生くらいの子どもを持つ母親がメイン。

理由として挙げていたのは、「ママ友」=スムーズに発音できるという単語である、という点でした。

「妊娠前はママ友というワードに抵抗を感じ、代替案を考えてみたことも。“母仲間”がイメージに近い気がしましたが、とにかく言いづらい上に、伝わらなくて……。気付いたら『ママ友』と表現していました」(息子4歳のママ)

という意見があるように、確かに「ママ友」の言いやすさはピカイチ。かっこいい男性を一言で表現した“イケメン”のそれに通じるものが。2019年現在、それにかわる流行語が存在しないのも事実であり、今後もしばらくは定番ワードとして使われていきそうです。

また、

「今でも60代後半の母親をママと呼んでいるし、アラフォーの自分たち世代をママと呼ぶことがおかしいなんてまったく思いません!」(息子5歳のママ)

という人もいて、“ママ”という言葉自体への抵抗感の少なさも、「ママ友」の浸透度に影響を与えていると思われます。

「ママ友」づき合いに含まれる“友”要素はどの程度? 交際の深さを調査

続いては、「ママ友」の友が、実際に友情なのかどうか、について。個人差のある話ではありますが、「ママ友」とのつき合いの深さは、子どもの年代によって変化するケースが多いようです。

<子どもが未就学児の場合>

保育園や幼稚園に入る前は、住環境や、子どもとのおでかけ先によって「ママ友」づき合いのレベルにも違いが。その後、子どもが保育園に入園した場合は、あっさりした「ママ友」づき合い、幼稚園に入園した場合は、密な「ママ友」づき合いに突入するケースが多いようです。

■子どもが入園前

・「一戸建てのわが家。子どもと近所の公園に行っても月齢をお互いに言うくらいで連絡先交換までいたらず、拍子抜け。妹はマンション内に『ママ友』がたくさんいるらしいので、住む場所にもよるのかも?」(娘1歳のママ)

・「産後、児童館で平日は毎日ベビー講座を開催している区に引っ越し。生後3ヶ月から週5で児童館に通っていたので、すぐに20人近いママ友ができました。毎日のようにLINEのグループトークで育児相談をし合ってます」(息子2歳のママ)

■子どもが保育園に入園

・「保育園ママ同士では、クリスマス時期に開催されるお遊戯会までは、他の保護者との連絡先交換は一切なし。保育園は親が活躍するような行事があまりないので、連絡をとる必要性を感じない。仕事と育児、家事の両立で精一杯! 送迎で会ったら会話する程度の『ママ友』交流で十分」(息子3歳のママ)

■子どもが幼稚園に入園

・「幼稚園は『ママ友』づき合いがマスト。行事がやたら多いから、交流しておかないと準備や当日にポツ~ンとなってしまうのがつらいんです! 役員や係になると、同じ役員同士、係同士でまとまって行動しないとスムーズに業務をこなせないので、平日は頻繁にランチ会が開かれます。そうはいっても、赤の他人だし、親しくなりすぎることで逆に嫌われたりするのは怖いので、外面だけよくして、踏み込んだ会話をしないように注意。お別れ会、食事会をしたら『ママ友』づき合いも一旦終了で、自然と連絡をとらなくなりましたが、今は下の子の入園でまた苦労してます」(息子7歳&娘4歳のママ)

<子どもが小学生・中学生の場合>

PTAなどの活動も活発化する小学校・中学校時代は、「ママ友」交流も盛んに!? と思いきや、実はそうでもないようで……。

・「小学校ではPTAの役員にならないと他のママたちと顔を合わすことがほとんどない。役員になったときは顔見知りにはなったけど、自分の仕事をこなせばいいので外で会うこともなく、ラクだった。働いているママも多いし、専業主婦のママも子どもの習い事の送り迎えで忙しいので、ランチしよう♪ みたいな友達っぽい関係は回避できます。イベント後に、携帯でお礼メールや画像を送り合う程度の『ママ友』づき合いです」(息子8歳&6歳のママ)

・「娘の習い事でできた『ママ友』。体操教室なのですが、LINEのグループトークを始めて、休みの日にBBQに行ったり仲良くさせてもらってましたが、教室をやめるときにグループトークを抜け、関係が切れました。今は別の教室で『ママ友』トークにいそしんでいます。子どもが同じ組織にいるからつき合いがあるだけ、あえて関係性をつないでいこうとは思いません。お茶をすると、家の経済状況とか、女友達っぽく探りを入れてくる人もいますが、笑ってスルー」(娘11歳のママ)

・「娘が通っている私立中学校はイベントが多い学校で、保護者の持ち物がとにかく多い! しっかり者の『ママ友』にメールで色々教えてもらって、なんとかやってこれた感じ(笑)。春から娘とクラスがわかれてしまったので大ピンチ! 親切な『ママ友』を見つけなきゃ~(涙)」(娘14歳のママ)

子どもが0~15歳のママからは、目の前の育児、幼稚園の行事、PTAなど、数々の“こなさなければならないミッション”の情報交換のために、「ママ友」づき合いをするという意見が多数。もちろんその中から、真の友情に発展するケースもあるのでしょうが、「今は子どもが優先」という声が圧倒的。また、「現在、子どもが属しているコミュニティー」のママとのつき合いを重視するため、過去のコミュニティーでできた「ママ友」とは疎遠になるという傾向も明らかになりました。

「ママ友」が本当の友だちに変わるとき

情報交換のためのつき合いだった「ママ友」との関係が、より“友情”味を帯びてくるのは、意外にも“高校生の子どもを持つママ”。

<子どもが高校生の場合>

・「息子を通わせていた私立小学校時代の『ママ友』5人。息子が小学生の頃は誰かの家に集まってお茶をして情報交換をしていたけど、今はもっぱら居酒屋で。小学生には話を聞かれたって困らないけど、多感な高校生には聞かせられないので(笑)。以前は子どもと学校の話が100%だったけど、今は自分たちの話題がメイン。夫との距離感、新しいパートナーの存在、仕事で会った人の話など、多岐にわたり、楽しい! 前は、子ども同士が友達だから一緒にいるだけという間柄だったけど、今は友達度が増していると感じます」(息子17歳のママ)

・「子どもたちが高校生になると、夫が単身赴任で東京へ。子どもたちも塾や友達づき合いで多忙だし……と、『ママ友』同士で夜居酒屋に出かけて、夜中2時くらいまで飲んだり歌ったりと青春を謳歌してます!」(息子17歳・娘16歳のママ)

・「娘が通う中高一貫校の『ママ友』。高校に入ったあたりから余裕が出てきたせいか、急速に仲良くなり、学校行事の後は必ず飲み会してます! トークでは、子どもの話題は皆無。学校ネタといったら、あの先生、かっこよくない!? くらい(笑)。旦那さんとのなれそめ、初めて会った日に後の旦那をホテルに連れ込んだ……とか、ぶっちゃけトークで毎回大盛り上がり。娘たちが学校行事で旅行のときは、『ママ友』旅行に出かけたりしてます。なんなら娘たちより仲いいかも(笑)」(娘17歳のママ)

中学にくらべて、子どもの自立が一気に進む高校。受験や部活などへの親の介入義務も減り、少し余裕が出てきた母親たちは、気が合うママ同士でつき合いを深めるように。その結果、より“友達っぽい”「ママ友」関係が築けるようです。



子どもが手を離れた「先輩ママ世代」の友情ぶりは……?

子どもたちが独立してからがいよいよ友情の本番!? と思いきや、そうもいかないのが「ママ友」づき合いの難しいところ……。

・「お互いの子どもが30歳を超えたあたりからよそよそしくなるお母さんも。話題はといえば、子どもの仕事、結婚、孫の3点。話したくない事情があるお母さんは、近所で会っても目をそらしてくるようになるので、こちらも察してスルーします」(娘40歳&37歳のママ)

・「子どもが小学生、中学生の頃にできた、いわゆる『ママ友』たちとは、年に2~3回は食事会を。昔は子どもの話題が多かったけれど、子どもの就職や結婚の報告が多い時期を経て、今は高齢の親世代やご主人の訃報を知らせ合うことが多くなってきた」(息子46歳・娘43歳・息子41歳のママ)

子どもが巣立った後は、「感覚としては親戚づき合いに近くなってくる」との声も多数寄せられ、友情とはまた違った雰囲気が漂う関係になることが分かります。

とはいえ、学生時代の友人との関係であっても、年齢を重ねれば節度のあるつき合いが大切になってくるもの。また、SNSで繋がるだけの関係であっても友達と呼んだり……と、友情にも多様性を感じる時代。

「ママ友」とは、同窓会で会う友人のように、“会えば一瞬で昔に戻れる”ような関係ではない……けれども、楽しい時間を共有できたならば、友達と呼ぶのも悪くない、のかもしれません。

高見澤恵美 Emi Takamizawa

LEEwebエディター・ライター

1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。

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