暮らしのヒント

映画ライター折田千鶴子のカルチャーナビアネックス

逃れられない孤独の中、ゆるやかに結ばれる交流が   優しく心に染みるドイツ映画『希望の灯り』


よく見ると美形(笑)なトーマス・ステューバー監督が来日!

観終えた直後より劇場を後にして歩いているうちに何となく、あるいはフとした拍子に何気なく脳裏に蘇って考えてしまうような、後からジワジワくる映画ってありますよね。暫くしてから「あ、なんか、すごく良かったなぁ」としみじみ嘆息するような。そんな映画に久ぶりに出会ってしまいました。それがドイツ映画『希望の灯り』です。

 

『希望の灯り』
© 2018 Sommerhaus Filmproduktion GmbH
2018年/ドイツ/ドイツ語/125分/配給:彩プロ 宣伝:Lem
公式サイト:kibou-akari.ayapro.ne.jp
監督:トーマス・ステューバー
原作・脚本:クレメンス・マイヤー(「通路にて」新潮クレスト・ブックス『夜と灯りと』所収<品切>)
出演:フランツ・ロゴフスキ、ザンドラ・ヒュラー、ペーター・クルト
4月5日(金)Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

 

こんな心に染みる映画を撮られた監督が来日したと聞き、お会いしに行ったら……うわ、若いスキンヘッドの、一見強面のお兄さんやん~っ。と一瞬驚いてしまいましたが、快活で率直な好人物でありました!! しかも、38歳(本作の撮影時は37歳)のトーマス・ステューバー監督、よく見ると青い目をした美青年でもあり……。

好きな映画監督にアキ・カウリスマキの名前を挙げるステューバー監督ですが、本作が長編2作目であるという以外、あまり詳細なプロフィールがないので、ちょっとだけ監督の生い立ちを聞いてみましょう。

――本作は、ベルリンの壁崩壊後の、東西が統一されたドイツ社会で時代に置き去りにされた東ドイツ側の人々の日常を描いています。壁が崩壊したのは監督が7歳の頃ですが、どのような記憶が残っていますか?

「う~ん、もちろん僕は(崩壊の行事的なものに)参加していないし……。テレビを見ていた母から、“これからは、どこにでも行けるようになったわよ”と言われたことくらいしか覚えていないな……」

監督・脚本:トーマス・ステューバー
1981年、旧東ドイツのライプツィヒ生まれ。これまでの監督作に、中編『犬と馬のこと』(12)、長編『ヘビー級の心』(15)、『希望の灯り』(17)。
写真:細谷悠美

――どんな映画体験をされてきたのでしょう? 何歳くらいから映画監督を目指したのですか?

「ジャンルを問うことなく、とにかく色んな映画を観て育ったことは確かだよ。12、13歳くらいから映画監督になりたいという願いは抱いていて、その頃からホームムービー的なショートフィルムを既に撮っていた。その後、他にやりたいことも出来ることもなかったから、映画学校に入って映画作りについて学んだんだ。

「学校では、映画の技術的なことを学ぶと同時に、芝居も学び、その後、役者をしていた時期もあったよ。監督作品としてちゃんとした形を成したのは24,25歳くらい。28歳のときに、ベルリン国際映画祭に出品された作品を撮った(在学中に撮った「Teenage Angst」(08)のこと)んだけど、あんまり僕は計画的に作るタイプじゃないんだよね。何か自分の心に響く物語に出会ったときに、論理立てて考えず、作り始めるというやり方を昔からしているんだ」

自身のことについては、あまり積極的に語るタイプの方ではないようですが、海外のサイトで調べたところによると、卒業制作として撮った中編『犬と馬のこと』(12)が、ドイツ短編映画賞、及び学生アカデミー賞で銀賞を受賞している模様です。なるほど、その頃から既に頭角を現していたのですね!

さて、『希望の灯』は、こんな物語です。

主人公は、体にタトゥーをたくさん入れた無口な27歳の青年、クリスティアン。旧東ドイツのライプツィヒ近郊の巨大スーパーマーケットで、在庫管理係として働き始めます。仕事を教えてくれる初老のブルーノは、「口数が少ないんだな……」と驚きつつ、静かに見守ってくれます。ほどなくクリスティアンは、お菓子係の年上の女性マリオンに想いを寄せるようになりますが、彼女は人妻。しかも夫はヒドい奴だという噂を聞き、クリスティアンは思いを募らせます。しかもマリオンも、物静かで純情そうなクリスティアンを憎からず思っているようなのですが……。

2人の恋話を含め、監督から面白いお話をたくさん聞けましたよ!

 

Writer Profile

折田千鶴子

映画ライター/映画評論家

Chizuko Orita

栃木県出身。LEE本誌で映画&DVD紹介ページやインタビューを担当。その他、各種雑誌やWEBメディア、映画パンフレットなどで映画コラムや批評、取材記事を執筆。夫と10歳の双子男子の4人暮らし。愛犬を亡くし、家族でペットロス中。

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