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佐々木はる菜

【助産師さんによる産後ケア体験記】“母乳ケア”だけじゃない!女性の心と身体、両方を支えてくれるサポートとは?【前編】

  • 佐々木はる菜

2019.02.21

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現在6歳と4歳となった子どもたちですが、どちらの産後も「乳腺炎」がひどかった私。それまで経験したことのない高熱を出すなど大変苦労しましたが、そのおかげで出会うことができたのが、産後のママたちを様々な形でサポートしてくださる「助産師」の皆さんでした。
妊娠・出産・育児に向き合うお母さんたちに寄り添い、心身両面から支えることで、子育てをより良いものにしてくれる心強い存在について、私自身の経験談も交えながらお伝えしたいと思います。

「乳腺炎」による体調不良と孤独感…第一子の産後を支えてくれた、訪問型の助産師さん

私は結婚を機に生まれ育った東京を離れて大阪に移り住んだため、初めての土地で初めての出産・育児を経験することになりました。子どもを通じて良い友人たちに恵まれたおかげで、楽しい想い出がたくさんできた貴重な時期となりましたが、その間、心身両面でずっと私を苦しめていたのが、母乳の通り道である「乳腺」が炎症を起こす「乳腺炎」でした。

産後1か月ほど経った頃、授乳中に痛みを感じおっぱいを見て見ると、乳首の先に白い塊が…。だんだんとその周囲が熱を持ち岩のように固くなり、そのうち痛くて横にもなれないほどに痛みが増していきました。その時に、連絡するとすぐ自宅まで駆けつけ助けてくださったのが、その後1年以上に渡りお世話になった助産師さんでした。

出産するまでは「乳腺炎」という言葉も知らなかった私。母からの「一度、母乳マッサージをしてもらったら?」というアドバイスがきっかけで、産後すぐに軽い気持ちで診ていただいていたのが、出会いのきっかけでした。

乳腺炎には様々な要因があるようですが、とにかく個人差が大きいものだと感じています。少なくとも私の周りには、友人や親族含めこんなに頻繁に乳腺炎になる人はいませんでした。

あまりの痛みに、結婚式前でも大してダイエットできなかった私が甘いものや脂っぽいものは控えるようになり、母乳の飲み残しが少なくなるよう授乳のたびに姿勢を変えるなど工夫し、それでもすぐに詰まってしまう。 “みんなは普通に甘いものなども食べているのに、どうして私だけ?”…おっぱいがトラブルを起こすと全体的に体調も悪くなり、気持ちも不安定になるという悪循環で、乳腺炎の時期は赤ちゃんとふたりで世間から取り残されているような孤独感も感じていました。
また長男は夜泣きがひどく、夜中の授乳も頻繁な上に1回の時間も長く常に寝不足気味。さらに、生後4か月で8kgを超えるなど体格が良く、それまであまり縁のなかった肩こりや腱鞘炎などにも悩まされました。

そんな中、自宅まで来て痛みを取り除き、辛くどうしようもない気持ちに寄り添ってくれる助産師さんは本当にかけがえのない存在でした。母乳マッサージで乳房をケアしてもらうと身体が楽になり、痛みがなくなることで心も緩むのか、だんだんとマッサージを受けながら色々な話をするようになりました。保育園と小学校に通うお子さんがいらっしゃる先輩ママでもあり、子育てへのちょっとした悩みや不安に的確に応えてくださったことはもちろん、誰にもわかってもらえないと思っていた乳腺炎の辛さに共感し、色々な形で「日々よく頑張っている」と温かく応援してくださり、話を聞いてもらいながら思わず泣いてしまったことも何度もありました。そうやって“じっくり話を聞いてもらう”ことにも非常に救われ、今思い出しても涙が出るほど、第一子の産後を支えていただきました。

母乳ケアに加え、“2人目育児”ならではの悩みを相談

その後、東京に戻り第二子を妊娠・出産しましたが、2人目の産後も助産師さんにお世話になりました。1人目の時の苦労を踏まえて産前に母乳ケアについてもある程度調べておき、この時は「訪問型」の助産師さんに加え、いわゆる「助産師外来」「母乳外来」と呼ばれる病院や助産院でケアをしてもらう場所にも助けていただきました。どちらもそれぞれ欠かせない存在でした。

下の娘は1月生まれで、長男は出産当時3歳手前という年齢。寒く色々な感染症が流行る時期に、ふたりの子連れで外出することなく、自宅まで来てくださる訪問型の助産師さんの存在は、やはりとてもありがたかったです。

大人になって初めて40℃を超える高熱を出すなど相変わらず乳腺炎はひどかったものの、「持病」としてある程度割り切ってつきあうことができるようになり、赤ちゃんのお世話自体も、2度目だからか楽しめることが多かった2人目産後の主な悩みは「上の子のケア」。また、夫の帰りが遅い我が家は基本的にワンオペなため、2人同時のお風呂や寝かしつけをどうするかなど、日々の育児をどう回していくかも試行錯誤の繰り返しでした。

この時お世話になった助産師さんは大学生のお子さんがいる方で、質問に対して次々とアドバイスをくださる頼もしいタイプ。また、妹の誕生という大きな変化の中にいる上の子の様子を実際に見ながら「よく育っている」と言ってくださったり、ぐずっている時に「これくらいよくあること!」と笑って受け止めてくださったりすることにも救われました。
ご自身の子育て経験に加え、たくさんの親子や子育て中のご家庭を見ている助産師さんの言葉は説得力があり、大阪時代と同様、精神的にも支えていただいたと感じています。

産後のママを支えてくれる、様々な形のサポート

以前書かせていただいた「産後ドゥーラ」などに代表される「産後ケアサービス」。最近では「産後ケア事業」として国も推進していることもあり、産後サポートを行う自治体が増えてきているそうです。地域によって名称は様々ですが、市町村の公式サイトなどにある子育て支援のページや、「産後ケア」「母乳外来」「助産師訪問」などで検索すると、様々なサポートを見つけることができます。

国家資格を持ち、妊娠・出産をサポートする助産師さん。母乳に限らず、産後ならではの不調や体の変化、育児についてなど幅広く相談できる存在がいることは、ママにとって大きな支えになると実感しています。
続く【後編】では、私が東京で通っていた「母乳外来」についてお伝えしたいと思います。「親子共に幸せな育児をするお手伝いをしたい」という想いのもと、どんな場所で、どんな助産師さんが、どんなことをしてくれるのか…実際の様子についてお届けします!

佐々木はる菜 Halna Sasaki

ライター

1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。

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