入口は不倫でも、夫婦っていいな、のドラマ
――不倫というテーマを扱っていますが、不倫ドラマとしての面白さはどんなところに感じましたか?
稲森「タイトルがまず面白そうですよね。何を間違えたのか、正解は何かとか、色んなことを考えました。ドラマを観て、どうして相手をこんな風にさせちゃったのかとか、自分がもっと素直になれたら良かったとか、色んなことを考えるきっかけになってくれたらいいな、と思います」
鈴木「夫婦って、全くの赤の他人同士が出逢って一緒に生活をするのだから、相手に対する嫌なことや、自分が良しと思うことが、イコールにはならないのが大前提。その大前提をプラスと捉えないと溝になっていく。このドラマは、入り口は不倫ですが、結婚の大前提を受け入れたり、相手を可愛いとか愛しいと思えたりすることに改めて気づかされたりするので、あんまり不倫ドラマという印象がないんです。実は“夫婦っていいもんだな”と思えることをテーマにして作られたドラマなんじゃないかなって感じました」

ニット、スカート:オットダム サンダル:フリーランス ネックレス:ゴバート・オーロ中川商店 ブレスレット、指輪:アビステ
鈴木さん スタイリスト:久 修一郎 ヘアメイク:藤原羊二
――夫婦という関係だけでなく、人間って愚かだけど可愛いよね、と思えるドラマでもありますよね。
鈴木「2人が別れると決まった後、実は小豆が嫌いだと言えなかったと伽耶に告白するかき氷のシーンがあるんです。結婚当初すごい数のおはぎを伽耶が作ってくれて、その時に「美味しい」って言っちゃったからだ、と。バカだなぁ、と思うけれど、そういうことって実際に“あるなぁ”と思いました。だってそれも思いやりじゃないですか。優しい嘘というか。頑張って作ってくれたお料理に、“俺、苦手なんだよ”なんて言えない。離婚直前で初めて言ってみたら、“何だ、そんなことなの?”って(笑)」
稲森「すごく匡さんらしい。我慢しなくて良かったのに、と後で思うことって人生でもありますよね。日常に流されてしまって、細々したことを後回しにしちゃって、ところがそれが段々と深くなっちゃって、ずっと言えないままになってしまうこと、もはや触れることもできなくなることって、私もすごく分かる気がします」
――どうすれば夫婦関係を劣化させずにいられるのでしょうか。このドラマを通して感じたことを教えてください。
稲森「やっぱり、気持ちは溜めずに言う。大きな問題にならないうちに、ちゃんと自分の気持ちや状態を相手にお知らせする。それに尽きると思います」
鈴木「ドラマの冒頭、伽耶と匡という夫婦に圧倒的に欠けていたのは、やっぱり会話だと思うんです。ふたりでいる日常が当たり前になって、ちゃんと目を見て“お早う”って言っていないですよね。そういう何気ない一言を、目を見て会話できていなかった。その積み重ねだと思うんです。
別れを決意した後、2人はそれにようやく気づいて、そういうことを大事にできた。うん、やっぱり夫婦関係って、日常の何気ない会話をちゃんと目を見て交わせるかどうかだと思います。そっぽを向いて“ありがとう”と言うのではなく、ちゃんと目を見て相手に伝える大切さが、このドラマですごく描かれている気がします」
クスクス笑えてホロッとしつつ、胸キュンも味わえる、なかなか味わい深いドラマです。個人的には、大好きな安藤政信さんのテンション高めの“愛すべきおバカキャラ”もツボりました!
是非、皆さんの夫婦生活改善(!?)にもお役立てください~!!