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松崎のり子

昨年自然災害で被害を受けた人は確定申告を

  • 松崎のり子

2019.02.10

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2018年は大きな自然災害が立て続けに起きました。

2月に北陸を襲った豪雪、6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨、9月の台風21号、そして北海道胆振東部地震と、まるで平成を大きな災害に襲われ続けた元号として記そうとするかのようでした。自分が住む家が被害を受けたという人も多いでしょう。地震、火災、風水害などの災害によって住宅などに損害を受けたときは、確定申告をすれば税金を軽くすることができます。その際、所得税法の雑損控除、または災害減免法のうち、どちらか有利な方法を選んで行います。

まず、雑損控除。これは災害だけでなく盗難なども対象になります。下記の計算をして、多い方が控除できる金額です。

①損害金額-所得金額の10分の一
②損害金額のうち災害関連支出の金額-5万円
(「損害金額」とは、損害を受けた時の直前の時価を基にして計算した損害の額。ただし、保険金や損害賠償金で補てんされた金額は差し引く。「災害関連支出」とは、災害により滅失した住宅、家財などを除去するための費用や、豪雪による住宅の倒壊を防止するための屋根の雪下ろし費用などの災害に関連したやむを得ない支出)

対して災害減免法は、その年の所得金額に応じて軽減される額が決まっていて、所得が500万円以下の人は全額免除、500万円超750万円以下の人は2分の1、750万円超え1000万円以下の人は4分の1の軽減に(原則として損害を受けた年分の所得金額が1000万円以下の人が対象。また、損害金額が住宅または家財の価額の2分の1以上であることが必要)。

どちらを適用した方が有利なのかは、被害金額と本人の所得などの状況によって変わります。

対象者は早めに税務署に行って相談を

ちなみに国税庁の試算では、所得600万円の夫婦と子ども2人(16歳以上で、そのうち1人が19~22歳の場合)の家庭で比較すると、損害額が100万円の場合は災害減免法を適用した方が有利ですが、200万円、300万円の場合は雑損控除の方が有利という結果に。さすがに普通の人はこんな計算ができませんよね。家が被害を受けたという人は、税務署が混み合う前に相談に行ってみる方が早いでしょう。また、広範囲の大規模災害の場合は、自治体に相談窓口ができることも。せっかくの制度ですから忘れずに利用したいものです。

 

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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