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飯田りえ

持続可能な社会って?遊びながら体感するSDGsゲーム×レゴ®のワークショプに参加しました。

  • 飯田りえ

2019.01.02

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明けましておめでとうございます。今年も子どもたちの教育に役立つワークショップや、子育てをアップデートできるような情報をたくさんお届けしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。新年1本目の記事は、年の初めにみんなで考えたい「持続可能な社会」について。

ある日、車好きの息子が水素エネルギーで走る車の動画を見ながら聞いてきました。「サステナブルってどういう意味?」最近よく耳にするこの言葉。持続可能な環境や社会、言葉の意味は知っていますが、「どうやって?」と聞かれると返答に困る始末。もう一つ、この際サステナブルの関連ワードで今さら聞けないと言えば、Sustainable Development Goals (通称SDGs)って何?

SDGs(エスディージーズ)=国連が2030年までに達成すべき、世界共通の目標として掲げた Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標のこと。
このカラフルなアイコン一つひとつが示す「世界を変えるための17の目標」と言われても、イメージしにくく、遠い世界な気がしてしまいます。しかし、明らかに環境や社会の変化は目まぐるしく、このまま「何もしなくていい」とも思えません。17個の目標をよく見てみると、個人に向けての目標もたくさんあり「これは私たち一人ひとりが、生活に結びつけて達成すべき目標なのでは? 」でも「個人でできることが世界を変えることに、どうやってつながるの?」 やっぱりわからない。

そこで、とても良いワークショップを見つけました。カードゲームとレゴ® ブロックを使って、このSDGsについて遊びながら学べるのだとか。難しい講義だけで厳しい現実を突きつけられるよりも、これなら自分でも受け入れられそう。百聞は一見に如かず、体験してきました。

中学生〜大人まで、みんなで一緒にSDGsを体感しよう


このワークショップを主催しているのは「こども国連環境会議推進協会(JUNEC)」という教育NGO団体。事務局長の井澤友郭さんはワークショップデザイナーでもあり、LEGO® SERIOUS PLAY®の公認ファシリテーターです。この日は平日の夜スタートにも関わらず、男女・年齢問わず40名ぐらいの参加者がいらっしゃいました。中には中学生の姿も!すでに多様性に富んでいて面白そう。
まずはレゴ® ブロックを使いながら同じテーブルの人同士、自己紹介やミニゲームからスタートします。「1分以内でできるだけレゴを高く積み上げてください!」息子の部屋はレゴで溢れかえっているので技を思い出しつ(こんなところで活かせるとは!)シンプルなゲームを楽しみながら、少し緊張が解けてきました。

続いて井澤さんによるSDGsについてのミニ講義です。世界の経済や社会、環境、貧困などの課題に対して2030年まで目標をまとめたのがSDGs(この前は2000年に採択されたMDGsがあった)で、環境や経済、社会、貧困や教育に対して17の目標と169のターゲットが設定されています。そして「誰一人とり残さない世界の実現」がゴールなのです。

これに向けて、日本の企業や行政が取り組んでいるのですが、悲しいかな、日本の認知度はたったの15…%。世界平均は51.6%、認知度高い国ベトナムにおいては80%。日本はかなり遅れています。

以前、読んだ記事を思い出しました。
SDGsが注目されるポイントの1つとして、個々の課題解決策を探るプロセスの中で、実は他の課題と根っこでつながっていることが多いこと。これまで接点がなかった人たち同士が出会い、対話を通じて一緒に解決策を導く…というのも効果として期待されているのだとか。
なるほど!今回のゲームも、ゴールを目指して初めて出会った参加者同士、共に協力し合って達成することを体感しよう!というのですね。持続可能な社会の実現、そして誰も取り残さないでゴールできるのでしょうか…?早速ゲーム開始です!

持続可能な社会は実現できる? まずはカードゲームで体感

ルールは至ってシンプル。お隣の方とペア1組になり、与えられた「お金」と「時間」のカードを使って、プロジェクト活動を進めます。そして制限時間内に様々なプロジェクト活動を進め、時間やお金を得てそれぞれに与えられた「ゴール目標」を達成するというものです。そのゴール目標というのが「大いなる富」「悠々自適」「環境保護の闘士」…などそれぞれに目標設定があるのです。なるほど!こういう違った価値観を持つ人たちがいる中で、ゲームを進めていくのですね。 実際の社会と同じで面白いです。

それぞれのプロジェクト活動に必要なお金と時間が揃えば、完了できるのですが、自分たちの手持ちでまかなえない場合は、他のペアと交渉して交換や譲渡も可能。また、1つ実行すると、それによって得られたお金や時間、次のプロジェクトカードと「意思カード」(現実社会においてのやりがい)というものがもらえます。ペアの方と相談しながら、とにかく手探りで進めます。一度、体験した人は参加できないので、みんな初めてのプレーヤーばかり。みなさん、動きながらコツを掴んでいる感じでした。

一点だけ、参加者全員が共通して気にしないといけないポイントがあります。自分たちのプロジェクトを解決していく度に、世界の経済や環境、社会が変化していくのです。例えば「交通インフラの整備」というプロジェクトを事項すると、経済は1ポイント増えるけど、環境ポイントは1減る…本当に、これも実際の社会と同じ設計ですね。前方のホワイトボードに可視化されます。それぞれが独自で進めていくと、どんな世界が現れたのでしょう?そしてゴールはできたのでしょうか?(結果は…参加してからのお楽しみに!)

とにかく最初は、わからないまま手探り状態で進めますが、やっていくうちに少しずつ自分たちで気づくことが多くありました。最後には「あ、SDGsってこういうことか!」とスッと腑に落ちたのが、座学だけでは得られにくいジレンマの疑似体験ですね。非常に驚きました。誰に教わるでもなく、実感する。その感じ方が明快すぎて「気持ちいい!」「楽しい!」とさえ思えるほど。

しかしこれで終わってはいけません。ここから大切なのが、レゴを使った「振り返り=リフレクション」です。

自分がどうしてその行動をしたのか。レゴ®ブロックで表現すると?

ここからが井澤さんのワークショップの醍醐味、レゴ® ブロックを活用したリフレクションです。先ほどのゲームで自分の頭の中がどうなっていたのかをレゴを使って表現します。
言葉にするには難しいことでも、これも何となくレゴを手に取って作り始めると…不思議とカタチができ上がります。正解も不正解もないので「こんな感じかな?」の曖昧さで作りつつ、テーブル同士の中で説明し合います。その後、お互いに質問合戦が始まります。「どうしてここだけ高いの?」「どうしてこの旗は赤なの?」あまり自分が意図していなかった所も聞かれるので困惑しつつ。それでも、こじつけて説明すると、自分の頭のにあったイメージが語言化できていました。「あ、私ってそんなこと考えていたんだ」と自分でもびっくり。

文章や単語で振り返ることももちろんできますが、言葉としては同じ意味でも、人それぞれ ”解釈” は違います。例えば「視野を広げる」と言っても、広げ方は人それぞれ。360度ぐるっと見渡す人もいれば、それぞれの立場に立って見る人も、高いところから見下ろす人も…そう言った“解釈の違い”を具体化できるのがレゴなのですね。また、人の作品の説明を聞くと「あ、そう言う考え方もできるのね」と、とても興味深く楽しめました。

シェアしあった後は全体の総括があり、その中の井澤さんの言葉がとても印象的でした。「自分が見えている景色は、自分しか見えていない=他人には見えていないのです」。確かに。どれだけ言葉で説明しても、解釈の違いは起こりえます。それに「他人とは分かり合えていない」と言うことが大前提として持っていれば、もっと世の中シンプルに考えられ、本質的な問題改善に向けて話し合いが持たれるのでしょう。そこには「どうしてわかってくれないの?」などの不要な悩みや感情の行き違いがなくなるのでしょうね。これはSDGsなど国際的な問題だけに関わらず、親子や夫婦間でも同じことですね。

以上、約2時間半のワークショップも終了。なかなか機会がない私にとってはとても新鮮で、気づきも多く充実した経験となりました。これが「楽しかったね!」で終わっては意味がないので、私でも ”持続可能に” できる行動を移していきたいと思います。



私が家庭の中からできるSDGsってなんだろう

まず日常的にできることは些細ですが、徹底させることが大事だと思ったので
・プラスチックなど過剰包装の商品の購入を控える
・水筒やエコバック、マイお箸を必ず持ち歩く
・フードシェアリングできるサービスを利用してみる
・ネット通販はその都度頼まないで、計画的にまとめる
・ペーパーレスに心がける、エネルギーの無駄遣いをしない
・子供服や本、家具などまだまだ使えるものはリユースに寄付する
・SNSでもSDGs情報に敏感になる、そしてシェアする
・記事を書いて人に伝える。子どもにも日常的に伝える

…などなど、まだたくさんありますが、国連のHP「持続可能な社会のために。ナマケモノでもできるアクションガイド」には、具体的に日常でできる事が書かれています。内容も面白いし、すぐに取り入れられることばかりなので見てみてください。
こちらのワークショップは定期的に開催しています。また、中高生向けの講座やファシリテーション講座など、様々な企画もありますので、詳細はHPでご確認を。

■SDGs×LEGO vol.41:レゴ ブロックで考える、私たちのミライ
日時:1月29日 火曜日 19:00~21:40
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター
住所:東京都渋谷区代々木神園町3-1
参加費用:社会人2,000円、学生500円

■ファシリテーション デザイン講座:対話や学びが深まる問いの作り方
日時:1月21日月曜日 19:00~21:30
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター
住所:東京都渋谷区代々木神園町3-1
参加費用:社会人3,000円、学生1,000円

次回はこのワークショップを開発された事務局長・井澤友郭さんのインタビューをお届けします。

飯田りえ Rie Iida

ライター

1978年、兵庫県生まれ。女性誌&MOOK編集者を経て上京後、フリーランスに。雑誌・WEBなどで子育てや教育、食や旅などのテーマを中心に編執筆を手がける。「幼少期はとことん家族で遊ぶ!」を信条に、夫とボーイズ2人とアクティブに過ごす日々。

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