佐々木はる菜

小さな子への読み聞かせに!写真家・若木信吾さんがコラボ絵本を5冊連続リリースした想いとは?

お子さんに読み聞かせを始めたばかりの時期、まだ文字が読めずストーリーも意識しない年齢の子どもに、何を読んであげれば喜ぶのか迷った経験はありませんか?

今回ご紹介するのは、写真家として、映画監督として、第一線で幅広い活躍を続けるアーティスト・若木信吾さんが、5組のアーティストと共につくった「ミニ絵本シリーズ」です。
プライベートでは4歳のお子さんのパパでもある若木さんご自身が、お子さんと向き合う中で感じた想いを元に立ち上げられた絵本プロジェクト。小さな子どもたち、そして日々子育てをするパパママに寄り添い、子どもと大人が一緒に楽しめることを目指したという絵本づくりについて、その魅力と熱い想いを伺ってきました!

「文字」も「ストーリー」も理解できない、幼い子どもが喜ぶものを!

若木さんが絵本をつくりたいという想いを持ったきっかけは大きく2つ。ひとつは、ご自身の子育ての経験、そしてもうひとつは新進気鋭のクリエイターさんたちとの出会いだったといいます。

お子さんが生まれて以来、周りの先輩パパママからプレゼントされた絵本や、ご自身が子どもの頃に好きだったものなど、色々な本を読み聞かせたという若木さん。そうやって1年ほどが経ち、2歳を迎えた頃に感じたのが「自分たちが読んであげたいものは、2歳児には通じない」ということ。

「まだほとんどの子が字も読めず、”話の展開”というものを理解できないのが2歳という年齢。世の中にはたくさんの素敵な絵本があるけれど、私自身、書店などでつい手に取る好きな絵本は全部”物語”があるもので、5歳や6歳などストーリーがわかるようになってから読んだものがほとんどでした。それがどんなに良い本でも、2歳の子にはその“良さ”がなかなか届かない一方、大人にとってはよくわからない部分で大笑いするなど、まさに未知の世界。この年代の子が喜び、さらには読んであげる大人も一緒になって楽しめる、そんな絵本がないか探していました。」

一方ちょうどその頃、地元である浜松で経営されている書店「BOOKS AND PRINTS」で行っていたのが、ご自身が刺激を受ける人気イラストレーターの方々の個展でした。その力のある絵を見た時に感じたのが「この人たちと”2歳児をターゲットにした絵本”を作ったら面白いだろうな」というインスピレーション。

「私自身も子どもに読んであげたいと思う、皆に愛され『名作』として読み継がれているものは60年代や70年代など、自分が生まれるよりも前に出版されたものも多い。幼い頃読んでもらったのと同じ本を子どもに読むことは、懐かしく幸せな体験ではあるけれど、何か今の時代から新しいものも生み出すことができたらいいな…と思い始めた時に出会ったのが、今回一緒に絵本をつくった5組のアーティストの皆さんでした。」

「ターゲットは2歳児」!これまでにない絵本づくりのヒントとなったのは?

言葉もストーリーもまだよくわからない2歳前後の子どもたちを喜ばせるために、どんな絵本をつくれば良いのか。
まだ幼い感性を「大人には理解できない」と片付けず真剣に向き合うのもまた、若木さんのすごいところ!その中で見えてきたのが、「自分のお子さんと触れ合っている時の”記憶のストック”で作る、全く新しい絵本」という答えでした。

「2歳ごろの子どもと改めてよく話してみるとわかるのが、言葉だけではなく『時間』という感覚もあまりないということ。成長してから記憶のベースとなる『言語』や『時間』という感覚がないということは、幼い子どもにとっては目の前のことが全てなんだ…ということが自分の中で腑に落ち、それならば親の側の記憶を形にすればいいんだ!と考えました。」

そして、ご自身がお子さんに様々な絵本を読み聞かせる中で、どんな部分に反応したか、笑ったか、どんな展開が子どもにとって面白いのか…それらの”記憶のストック”をアーティストさんたちと共に形にして出来上がったのが、今回の5冊の絵本です。

「ミニ絵本」という名前の通り、CDジャケットサイズでとてもコンパクト。「敢えて凝りすぎず、子どもに馴染みやすい形にした」という絵本は、紙質も強く角がなく、小さな子でも持ちやすい仕立てに。お出かけ先などでも読み聞かせできる“持ち運びしやすさ”も、パパママには嬉しい要素ですよね!

ページをめくるたびに驚きがやってくるような絵本を

いわゆるストーリー性よりも、「ページをめくるたびに驚きがやってくるような、その瞬間瞬間を楽しめるような本をつくりたい」と考えていた若木さんが大切にしたのは、「敢えて、なるべく起承転結を作らないこと」と「1枚1枚の絵にインパクトがあること」でした。

第1弾として発売された『しんまいぐま』に登場する人気のくまさん。ご自身も含め、真剣に絵本作りに取り組むほど、推敲を重ねることでストーリーができてしまう。なるべくそこに向かわないように、「しりとりや連想ゲームのように、いつまでも楽しく続けられるようなものにしたかった」といいます。

「大切なのは、読み手と聞き手の関係性。子どもが一番喜ぶのは、やはり親が楽しんでいる姿を見た時だと思います。絵本を忠実に朗読するというよりも、絵から引き金をもらってセリフを作るなど、アドリブでどんどん読み手のアイデアを入れ込みたくなるような、大人側も楽しんで読み進めることができるような『読み手パフォーマンスをそそられる絵本』を目指しました」

第3弾として発売された「わたしのゴールデンベル」の作者は、若木さんご本人。全体に流れる優しい雰囲気が印象的です。「インパクトは大切にしながら、5冊とも、子どもたちを怖がらせることなく、安心感の中で楽しめることも意識しました」

絵本は「ツール」!親子の時間をより良くするため、自由に活用してほしい

若木さんを始め、多方面で活躍する方ばかりが集まりながらも、アーティスト個人としての作家性ではなく「どうやったら子どもたちがを笑ってくれるか」を追求しながらつくったという、とても贅沢な5冊の作品。結果的にはそれぞれの個性が現れながらも、どの本からもあたたかみが感じられ、小さな子どもだけではなく大人も目を離せなくなる、他にはない「力」を感じます。

「この5冊は、親子で楽しく過ごすための『ツール』だと思っています。アドリブを入れてもいいし、子どもが“ウケる”なら逆さにして読んでもらってもいいくらい(笑)。そうやって、それぞれの親子が自由に、一緒に楽しい時間を過ごすきっかけになるものを提供したいと思ってつくりました。」

「実際に読み聞かせをして、幼い子どもが笑ってくれた時の感動ってかけがえのないものですよね。」ご自身も、セリフを創作したり、時にはテレビなどで仕入れた関西弁“風”で読んでみたりすることもあるそう!是非聞いてみたい(笑)

お子さんが産まれてから、やはり暮らし方や考えが変化したという若木さん。そのひとつが「繋げて行きたい、途絶えさせたくない」という想いが強くなったことで、それは今回の絵本づくりの根底に流れている考えでもあるようです。

「親の世代は毎日携帯やパソコンにこれだけお世話になっているけれど、子どもたちには自分たちと同じように絵本で育って欲しい、それが続いて行って欲しいと思っている。自分の世代が終われば終わりではなく、自分の子ども、そしてその次の世代と続いていく…考え方が自然とロングスパンになりました。」

自分の生き方や考えを見ながら育っていく子どもたちに、より良いものを残し、それを繋げて行きたいという想いを、子どもたちに寄り添った絵本という形にしたプロジェクト。子育て中のいち母親としても、非常に胸を打たれました。

読み聞かせだけでなく送り迎えや、時には朝ごはんも作るなど、第一線で活躍を続けながらも、お子さんと向き合う時間も大切にされている若木さん。「子ども自身も意志を持つ年齢になり、本人の様子をよく見ながら先回りしすぎないようにしないと…と思いつつも、ついあれこれ手を出したくなってしまうんですよね」と話す温かい笑顔からは、試行錯誤しながら子育てに取り組まれている様子が伝わってきました。

今回の出版を機に、自分も絵本をつくりたいと手を挙げる方々も多く、来年3月から、また新たに5冊の絵本が順にリリースされる予定だといいます。
若木さんと、注目のアーティストがコラボレーションしてつくる、小さな子どものための絵本プロジェクト。これからもますます目が離せません!

■若木信吾 1971年、静岡県生まれ。ニューヨークロチェスター工科大学写真学科卒業後、国内外の雑誌・広告・音楽媒体を始め幅広い分野で活躍されながら、映画製作や出版社レーベル、書店の経営など様々な活動を続ける。2016年には写真家として20年の節目を迎え、著名人からの信頼も厚い。

【商品詳細】
☆初版はメッセージカード付き。これからの時期、プレゼントにもおすすめです!

〈若芽舎〉ミニ絵本シリーズ
第1弾:『しんまいぐま』 作・絵/オカタオカ(2018年9月25日発売)
第2弾:『バゲットさんのオープンカー』 作・絵/ボブファンデーション(2018年10月29日発売)
第3弾:『わたしのゴールデンベル』 絵/佐伯ゆう子 作/若木信吾(2018年11月27日発売)
第4弾:『スノーマン』 作・写真/黄瀬麻以 作・絵/リーバイ パタ(2018年12月19日発売予定)
第5弾:『オーロラロケット』作・絵/とものかなこ(2019年1月29日発売予定)

☆公式Instagram・twitter上でも情報配信中です!
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