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飯田りえ

伊勢丹新宿店は ”遊び” と ”学び” の百貨店でもあった!

  • 飯田りえ

2018.11.21

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必要なものはすぐに手の中でポチッとするだけで届いてしまう今。買い物へいく意義が自分の中でも変わってきたなぁ、とつくづく思います。百貨店へも何かを買うためだけではなく、そこでしか得られない体験を求めて行くことが増えました。特に子ども向けのワークショップや季節ごとのイベントがあると、期待に胸を膨らませて出かけています。

伊勢丹新宿店へも「素敵なワークショップを展開している場」として出向くことが増えました。(もちろんお買い物もしますよ!)というのも、前回記事でご紹介した『cocoiku(ココイク)』のキッズルームだけでなく、親子で楽しむ教室「ここちの森」や、体験型ショップ「ココイクパーク」、プロに学ぶ「ココイクワークショップ」…と、百貨店の枠を飛び越えて、年齢や用途に合わせた様々な “遊び”と ”学び” がそこかしこにあるのです。こちらのプログラムを監修している会田大也さんに、引き続きお話を伺ってきました。

乳幼児期のココロとカラダの成長には、”触れる”ことが大切!


——ココイクには多彩な教育プログラムがありますね。未就学児向けの「ここちの森」はどういった親子教室ですか?

会田大也さん(以後、敬称略):五感の中でも「触覚」に注目した、オリジナルのプログラムを作って体験していただいています。例えば、指先を使った細かな感覚と全身を使ったバランス感覚の両方が、言葉を覚える前の子どもにとっては重要だと考えています。都会で暮らしていると体験値として、これらの経験がどうしても貧しくなりますから。

——「カチッとピタッとの森」とか「ふんわりの森」「ぐにゃぐにゃの森」とか…レッスン名もわかりやすくて可愛いですね。

会田:使う感覚ごとに 6テーマ用意していて、例えば「ふんわりの森」だと大きな布とかスポンジ、風や泡など…さまざまなツールに触れながら感覚を磨きます。テーマにつき2プログラム、計12項目ご用意しているので、月1や月2などそれぞれのご家庭のペースで楽しんでいただけます。

——プログラム中、親はどうかかわっていけば良いのでしょうか?

会田:保護者の方には強制せずに見守る姿勢と、子どもの視線に立つこと、そして何よりも自身が楽しむことをお願いしています。保護者の方が受講できる講座として、子どもがチャレンジするときにありのままを認めて、どんな時でも愛していることを眼差しで伝えるという「アドラー心理学」をベースにしたレクチャーも用意しています。

——親も学べるのが良いですね! おもちゃもこだわりがあって、見ていて楽しいものばかりです。こちらはよく見ると身の回りにあるものばかりですね。

会田:センサリーボードと言って、幼少期の子どもが大好きなものをあれこれボードに取り付けています。開けたり閉めたりする蝶番やスイッチ、車輪や蛇口など、ホームセンターで売っているようなパーツって子ども大好きじゃないですか。それを自由に使っていいよ、というボードが大人気なのです。おもちゃではなく本物であることは、子どもでもきちんと把握できます。自宅でDIYしてみるのも良いですよ。

 

——本当ですね!家の中だと鍵とか触られると困りますが…、専用に作ってしまえば問題なし。 わが子が好きなものばかり集めたおもちゃなんて市販されていないし素敵ですね。ここに来れば親も子育てのアイデアがいろいろ膨らみそう。

会田:僕自身、長いこと美術館での教育に携わっていた経験もあるので、その蓄積が活かせているのかもしれません。触って楽しめる環境は、隣のコミュニティスペースにも設置してあるので、レッスン後も子どもをここで自由に遊ばせながら、親御さんたち同士でコミュニケーションをはかったり、オリジナルの活動アルバムを作ってもらったりしています。レッスン終了後に、スタッフが撮影した写真をお渡ししているので、ここでの体験や気づいた成長など書きとめ、皆さんデコレーションして帰られますね。6・12回券をお持ちの会員さまなら、レッスン日以外でも毎日自由に利用できるので。

——オリジナルのアルバムも作れるのですね。家に帰るとなかなかできませんし、すぐ作ることができる環境があるのは親切ですね。


ココイクの真髄であるワークショップを進行中


——本館6階中央にあるスケルトンなスペースでは何を?

会田:ここはココイクパークと言いまして、色々な子ども向け商品のお試しや、ワークショップなどを企画しています。先日まで行っていたのは岡山県の家具メーカー『ようび』とコラボして、『図鑑みたいなこどもべや』というイベントをしていました。公園で拾ったドングリや石ころなど、子どもたちが持ち帰ってきたものを、家具を使って素敵なにディスプレイする、そんなワクワクする子ども部屋の提案をしていました。同時にワークショップも開催していましたよ。

 

——いつも視点が素敵ですね!ワークショップはどういう風な視点で?

会田:”本物に触れる” というコンセプトで、各フロアと連携しています。過去には『とらや』とコラボして、和菓子のワークショップを行いました。老舗のお店と一緒に取り組めるのも伊勢丹の強みですので。

 

——今後の企画で面白いワークショップはありますか?

会田: 『ていねいな買い物教室』と題しまして、これから先何十年も使い続けられる一生モノの学習机を、親子で制作します。家具メーカーの『ようび』と一緒に国産のヒノキを使って、家具作りのノウハウをじっくり学びながら3日間かけて作ります。さらにプレイベントとして間伐材の伐採体験もありますし、まだ学習机は早いかな…というご家庭には1日で作れるファーストチェア作りもご用意しています。

 

——素敵ですね! 親である私たちも経験したことのないことですから、もはや親子で成し得る一大プロジェクトですね。

会田:そうですね。僕自身、子どもを授かって視点がひらけた感覚があります。森を大切に引き継いで行きたいという思いも、未来に対するリアリティが増したからこそ強くなってきているのかも知れません。親子が仲間・チームとして取り組めるワークショップだと思います。たとえ失敗をしてもそれを一緒に乗り越え、共に笑いあえる、そんな親子関係が生まれると素敵だな、と思っています。

 

——ストーリーが壮大なワークショップですね!これからも楽しそうな企画をお待ちしています。

 

幼児期に大切に育みたい教育プログラムを独自に開発したり、3日間もかけて制作するワークショップを開催したり…これまでの百貨店という枠を飛び出している活動ばかり。年齢に合わせた、それぞれこだわりのある教育にこれからも注目していきたいと思います。

 

《ここちの森》
対象は0〜6歳(未就学)*年齢によりクラス・時間帯が異なる
月1or月2回、定期的に通う場合は6回券29,160円・12回券51,840円。遊び場としてたまに利用する場合は1回券5,940円・3回券16,200円。初めての方はトライアルレッスン 1回2,160円。回数券特典あり。
詳しくはhttp://www.cocoiku-isetan.com/ cocochi_no_mori/

《ていねいな買い物教室》
・「学習机」作りワークショップ(2/9〜11日の3日間連続開催)
・「ファーストチェア」作りワークショップ(2/9〜11日のうち単日開催)
・「高尾木こり体験」(11/23開催)
*各プログラム定員に限りあり。詳しくはお問い合わせを。
http://www.cocoiku-isetan.com/youbi/

どちらも参加方法は伊勢丹会館5階ココイクに直接お申し込みor電話orはアプリ「MY ISETAN」よりcocoiku会員に登録の上、お申し込みできます。
お問い合わせ●03-3225-2728(直通)10:00〜19:00
http://www.cocoiku-isetan.com/会田大也さん(cocoiku プログラム監修・ミュージアムエデュケーター)
1976年東京生まれ。2003年開館より11年間、山口情報芸術センター(YCAM)の教育普及担当として、メディアリテラシー教育と美術教育の領域にまたがるオリジナルワークショップや教育コンテンツの開発と実施を担当。一連のワークショップは、第6回キッズデザイン大賞を受賞。担当企画展示「コロガルパビリオン」が、第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品受賞。一連の「コロガル公園」シリーズは2014年度グッドデザイン賞を受賞。2014年より東京大学大学院ソーシャルICTグローバル・クリエイティブ・リーダー[GCL]育成プログラム特任助教。

飯田りえ Rie Iida

ライター

1978年、兵庫県生まれ。女性誌&MOOK編集者を経て上京後、フリーランスに。雑誌・WEBなどで子育てや教育、食や旅などのテーマを中心に編執筆を手がける。「幼少期はとことん家族で遊ぶ!」を信条に、夫とボーイズ2人とアクティブに過ごす日々。

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