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佐々木はる菜

菌活に「百年ピクルス」!九州で120年続く老舗の“新しい”力

  • 佐々木はる菜

2018.11.01

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九州・佐賀の地で明治初期から漬物作りを続けてきた「漬蔵たぞう」。
今回ご紹介するのは、その、120年以上続く老舗のお漬物屋さんが作り人気を集めている「百年ピクルス」です。

まず心惹かれたのは、この美しい佇まい。
地元の九州で獲れた新鮮なお野菜を、ひとつひとつ手作業で漬け込み、その時だけの美味しさを瓶に詰めているそうです。

旬の素材を厳選し、その季節によって内容や味の変化を楽しめることも大きな魅力!

そして商品について調べるうち、このこだわりのピクルスは、若者の漬物離れを感じたひとりの従業員の方が、漬蔵の社長さんの知恵を借りて生み出された商品だということを知り、ますます興味を持ちました。

古くから日本で大切にされてきた「発酵食品」の良さを、もっと伝えたい!

「漬蔵たぞう」があるのは、歴史的な町並み今も残る佐賀県鹿島市「肥前浜宿」。古くから酒造りが盛んで数々の名酒の産地でもあり、その良質な酒粕を原料に、漬物作りを続けてこられたそうです。

立派な蔵は、加工所・直売所としてだけでなく、ライブや映画の上映会会場などにも開放され、人々の集う場に!

この「百年ピクルス」を生み出したのは、開発当時32歳だった北御門裕一さん。
若者の漬物離れを感じる中、「もっと多くの方に発酵食品の良さ気に気づいてもらうきっかけのひとつにしてほしい!」という想いのもと、社長さんの知恵と技術やアイディアを借りながら試行錯誤を重ねて行ったといいます。

酸味が強いイメージのあるピクルスですが、「百年ピクルス」の味はとてもまろやか。そもそも北御門さんご自身はピクルスがあまりお好きではなく、それを逆手にとり“苦手でも食べられる味”を模索されたというエピソードも印象的です。季節によりますが、普段はピクルスでは見かけないオクラやシイタケなども!

当初は社長さんから難しいと言われた素材でも、「どうしても作りたい!」と諦めず、商品化までたどり着いたそうです。

九州産の無農薬野菜をたっぷり使ったピクルスは、そのまま食べて楽しむことはもちろん、お料理にも活用できます。そして、子どもにも安心して食べさせられるという点も大きな魅力に感じました。

おしゃれな外観と深い味わい…子どもたちも大喜び

ご多分にもれず、お漬物には見向きもしない、我が家の兄妹。そして夫も、浅漬け以外は積極的には手を出しません。私自身は、小さい頃から祖母のお漬物が大好きで今でも好んで食べますが、夫も子どもも食べないとなると優先順位が下がってしまい、食卓にのぼらない…という、まさに「漬物離れ」の家庭そのものでした。

しかし、見た目もとても綺麗な「百年ピクルス」には、普段漬物に興味を示さない子どもたちも興味津々!

シンプルでおしゃれな箱と英字新聞に包まれて到着!プレゼントにも喜ばれそう!

子どもたちも「食べてみたい!」「おいしい!」

「酸味を落とし、サラダ感覚で食べられるものを目指した」という北御門さん。
ピクルスならではの風味もありながら優しい味わいで、そのままでいくらでも食べられそうな、なんとも言えない深みのあるおいしさ。手作りだからこそ大量生産ができないそうですが、まさにこれこそ「老舗にしか出せない味」なのだろうなと感じました。

日本古来のものを活かしながら、現代の生活スタイルに馴染むものを

「百年ピクルス」という商品自体の魅力に加え、もうひとつ心を惹かれたこと。それは、こちらの「漬蔵たぞう」で生まれる様々なものが、 “これまで続いてきた歴史や伝統を大切にしながら、それらを活かして新しいものを生み出し、人気を集めている“というところでした。

例えば、今では老若男女が集まり、様々なイベントが行われている「漬物蔵」ですが、この蔵が人々の集う場になったきっかけも、北御門さんの存在だといいます。もともとは福岡で音楽関係の仕事に携わっていた北御門さんは、縁あってこの地に移住してきた、言わば“新しい風”を吹き込んだ存在。社長の田雑さんとの出会いによって発酵文化の良さについても知り、その魅力をもっと広めたい、そしてこの場所で何かをやりたいと考え、移住後まず取り組んだのが、この蔵をきれいに片付けることだったといいます。

それまではあまり活用されていなかった蔵を今の姿に蘇らせ、「百年ピクルス」を全国的に大ヒットさせることで、発酵文化の良さを発信している北御門さん。ピクルスの人気は、今では生産が追い付かないほどだといいます。

「日本古来の発酵食文化を受け継ぎながら、現代の生活スタイルに馴染むお漬物を。
100年前から、100年先まで。そんな想いを込めて作ったのが、この『百年ピクルス』です。」

長く続いてきた伝統の素晴らしさを伝えるため、現代の世の中で広く受け入れられる形を作った北御門さん。実際に多くの方から支持を集めて人気となっている「百年ピクルス」は、歴史と新しいものをベストな形で融合させた素敵な商品だと感じています。

影響され、自宅でもピクルス作りにハマっている私。味はくらべものにならないものの、とても楽しいです!

サイト上に載っていた「ピクルスレシピ」を参考に作った、「手羽先のピクルスマリネ焼き」「大豆ピクルスのサラダ」。簡単で本格的な味わいに仕上がりました!

ご自宅用にはもちろん、年末に向け贈り物の機会も増える時期。気になった方は、是非チェックされてみてくださいね!

百年ピクルス

佐々木はる菜 Halna Sasaki

ライター

1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。

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