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松崎のり子

古い通帳が見つかったらどうすればいい?

  • 松崎のり子

2018.10.10

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あなたが初めて開いた銀行口座、今も現役で使っていますか?

以前にも書きましたが、2018年1月より「休眠預金等活用法」が施行され、過去10年間取引がない預金は、所定の機関に移管され、民間公益活動に使われることになりました。
先におさらいすると、この法律の目的は、しばらく使わないお金があるなら、公益のために利用させてもらうことで社会全体へ還元しましょう、というもの。「休眠預金等」の対象になるのは、最後の「異動」が2009年1月1日以降で、その後10年間取引等がない預金(普通預金、定期預金、貯蓄預金など)です。

「異動」とは何かというと、まずは預金の入出金です。通帳記帳や残高照会については、各金融機関が行政庁に「これを異動として認めてください」と求め、許可を受けていれば認められます。何を異動とするかは金融機関ごとに異なり、ネット銀行の場合は入出金のほかに取引口座へのログインがあれば異動と見なすというところも。それぞれ銀行のホームページ等で公表されているので、確認しておきましょう。

旧姓で作った口座を調べるには、本人と証明できるものが必要

いざ古い通帳が見つかり預金を下ろしたい時はどうすればいいかといえば、まずはその銀行の最寄りの支店へ。手元に通帳・キャッシュカード・届出印があれば、それを持参して窓口に行きましょう。また、既婚女性なら旧姓の口座が残っているケースもありそうですね。

私が古い口座の残高を調べてもらった経験では、通帳・カード・届け出印がすべて揃っていて、本人確認証明ができるもの(運転免許証など)があれば、わりとスムーズに手続きができました。ただし、旧姓で作った口座だと、同一人である証明になるもの(戸籍謄本・抄本など)が必要に。また、これらのものが揃っていたとしても、古い通帳と今の住所が異なっていれば、まず住所変更を、さらに旧姓の場合は氏名の変更もしなくてはいけまあせん。さらに現在の姓に印鑑を変更するときは、届出印変更の手続きも必要となります。それでやっと自分の預金を取り戻すことができるのです。

なお、口座を継続するか、解約するかでも、次の手続きが異なります。今回3つの口座を調べてもらい、一部は残し、一部は口座自体を解約しましたが、手続きにはざっと1時間近くかかりました。また、そのうちの一口座は、合併のため今はもう存在しない銀行及び支店のものだったため、すぐには現状がわからず、過去の情報を照会してもらうのに数週間かかりました。どちらにしろ、時間の余裕がある時に手続きに行くほうがいいでしょう。私の場合、「どうせ数百円だろう」と思っていたら、なんと解約していなかった定期預金も見つかって、合計10万円以上にも! ずいぶんもったいないことをしていたんですね。

休眠預金が実際に発生するのは2019年からなので、今年のうちに通帳の棚卸をしておきたいもの。ただし、自分の預金が休眠預金になってしまったら、もう国に没収されちゃうのかと言えばそんなことはありません。申し出をすれば取引のあった銀行で引き出すことは可能です。ただし、ATMでキャッシュカードを使った引き出しはできず、通帳やカード・印鑑・本人確認書類を持参して手続きすることになります。とはいえ、のんびり構えず、これを機に不要な口座は一掃し、すっきり整理することをお勧めします。

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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