ママの詫び状

【ママの詫び状 第10回】子どものSNSチェックはどこまであり?

「ネットは怖い」ですか?

厚生労働省の最近(2018年8月)の発表によれば、ネット依存が疑われる日本の中高生は93万人。主な原因はスマホのオンラインゲームやSNS。2013年の前回調査からその数は倍増し、男子よりも女子の方がハマりやすいという点も気になるところだ。「最近の子どもはとんでもない!」「スマホ撲滅!」「ウチの大事な〇〇ちゃんにはスマホは絶対買い与えないワっ!」って怒っちゃう? いやいや、この発表を聞いた多くの大人もまた、自分の生活をどこか振り返りながら「そりゃ無理もないわー」なんて感じているんじゃなかろうか。

他人事のように書く私だって、日々の暮らしに少しでも隙があればいつの間にか手の中にスマホを握りしめている。仕事のメールだとかの「本当に必要な作業」はごく一部。あとはニュースをボーッとブラウズしたり、人のSNS投稿にコメントというほどでもない無意味なちょっかいを出したり、オンラインショッピングで実に無駄な浪費をしたり、イケメン画像やイケメン動画やイケメンブログを見たり。私はあの手のひらサイズの便利な小箱に、実に”生産的”な時間を毎日水栓全開気味に注ぎ込んでいる。

でもそのネットなるものをハードもソフトも作り上げて内容豊かにしてきたのはまさに自分の世代だし、その業界に携って、自分の家庭を持って、今まさに子育てをしているのも自分の世代。ネットのシステムや文化の供給者でありながら消費者でもあり、便利さと面白さと、怖さもわかっている大人だ。おっと、そういえばそもそも私だってネットの物書き業だ。

デジタル世代の子育てをする私たちは、いまどき「ネットは怖い」なんてひたすら蚊帳の外にいることで息を潜めて保身するのではなくて、デジタルサヴィ(デジタルな世界をよくわかっている)でクールな大人、でありたい。でも、クールな親でいるって、結構難しい。

「隠し事をさせないように子どものSNSの投稿を全部見る」親って、イヤかも……

インターナショナルスクールで、ママ友が集まってのコーヒータイムを楽しんでいたときのこと。大学生から幼稚園児まで、子どもが5人もいるアメリカ人のママが、椅子に座るのに飽きてキィキィ言い出した末っ子にオレンジジュースのパックを差し出しながら言った。

「子育ての秘訣? トーク、トーク、トーク。とにかく親子で話すことよ。学校やプライベート、どんな友達と付き合っているかも、隠し事はさせないわ。私は自分の子どものSNSアカウントとは全部繋がって、投稿は全部見てるわよ」

2010年、大人からティーンエイジャーまでFacebookが全盛で、Twitterがヒップ(最先端のオシャレ)なものとして徐々に広まっていた頃だ。

とっさに「げっ」と思ったのは、「子ども側」に自分を置いてみたからかもしれない。「親子で話す」のはそりゃいいと思うけれど、だからって「隠し事をさせないように子どものSNSの投稿を全部見る」必要はないような気がする。隠し事がある/ないはまず置いておいて、子どものSNS投稿を全部「監視」しなきゃ親子で話せないものだろうか?

それって、自分の子どもを信頼していないってことだよねぇ……。そんな風に親が子どものことを全部監視・把握しようとする親子関係で「さあ、親に向かってなんでも話せ」って言われても、私なら秒でグレる自信がある。いや、家出かもなぁ……。理不尽な監視からは逃げたくなるのが、健全な人間の心理というものだ。恋愛と同じで、人は追いかければ追いかけるほど逃げるのである。

ということは、このアメリカ人ママは子どもをくまなく監視することで、わざわざ子どもに「もっと隠したくなる、逃げたくなる」心理を植え付けていることになる。うーん、子育てのさじ加減って難しいなぁ。ドヤと言わんばかりに自信ありげな彼女の顔を見ながら、私は複雑な気持ちでコーヒーをすすった。

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Writer Profile

河崎環

コラムニスト

Tamaki Kawasaki

1973年、京都生まれ神奈川育ち。22歳女子と13歳男子の母。欧州2カ国(スイス、英国)での暮らしを経て帰国後、子育て、政治経済、時事、カルチャーなど多岐に渡る分野での記事・コラム執筆を続ける。2019秋学期は立教大学社会学部にてライティング講座を担当。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)。

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