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文学座が贈る“子どものための演劇フェスティバル”、この夏一番の想い出に!

  • 佐々木はる菜

2018.08.31

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今年の夏休み、とても心に残っているのが、家族4人で「ぶんがくざ なつやすみ こどもフェスティバル」へおでかけしたことです。子どもたちが大喜びする楽しい工夫と仕掛けがいっぱい!我が家の6歳3歳兄妹にとっては「はじめての観劇」でしたが、到着してから帰るまでずっと、目を輝かせながら参加していました。

1937年に創立された文学座は、言うまでもなく日本を代表する劇団のひとつ。舞台、映画、TVはもちろん、ラジオ、アニメ、吹き替えなど多方面で活躍する人材を輩出し、附属演劇研究所卒業生には数多くの大物俳優陣が名を連ねています。

そんな文学座が、“全てはちびっ子の為に!!”をモットーに2012年から毎夏開催しているのがこの、「ぶんがくざ なつやすみ こどもフェスティバル」。今年の演目は「ヘンゼルとグレーテル」でした。上演前、みんなで劇中に使うアイテムを工作する時間と合わせ約1時間、3歳以上を対象に作られた子どものためのお芝居ですが、大人でも充分に楽しめる素晴らしい内容でした。そして今年は、例年のお芝居に加え、0~2歳児に向けたミニシアター「♪(おんぷ)deだっこ」も開催されました。料金はなんと、こども100円!(大人は1000円)また、入場無料の絵本読み聞かせの時間もあります。

“全てはちびっ子の為に!!” 文学座メンバーによる、お祭りみたいな企画

会場に着くとまず目に飛び込んでくるのが、1950年に竣工された歴史ある「文学座アトリエ」…の前にオープンしたミニ縁日!

よく見ると、子どもたちにヨーヨー釣りや駄菓子のつかみ取りさせてくれているのも文学座の役者さんたち!ちょっと恐縮する親を後目に、盛り上がる子どもたち。

受付でコインをいただいた子どもたち、まずは、文学座の皆さんがひとつずつ手作りしたメダルを選ばせていただきます。毎年参加されているお子さんの中には、その年数分、首に下げて来場する方もいるそうで、想いのこもった恒例の風物詩となっています。今年は「ヘンゼルとグレーテル」の絵が描かれていました。

そして劇場内に入ると、天井にはミラーボールや色とりどりの電灯が飾られ、きらきら光り輝く様子に、子どもたちはもちろん、大人も歓声を上げていました。

場内の客席も文学座の皆さんが設置してくださったそう!

舞台スペースのすぐ前、可愛い座布団が並んでいるが所が、子ども席。後方に大人用の椅子も用意されていますが、自分の子のすぐ後ろに座ることもできるので、小さいお子さんの場合でも安心だなと感じました。

開演前の30分は、劇場の壁にチョークで自由にお絵かきすることができます。こんなに大きなスペースに絵を描ける機会もなく、みんな本当に楽しそう!

うちの息子は、気づくいた時にはチョークの粉まみれになっていました。

その、子どもたちによって描かれた世界に一枚しかない絵が、舞台の背景になります。
劇団員の皆さんも優しく話しかけてくださり、「森の精」のコスチュームで写真を撮ることができるスポットも!

子どもたちも役者さん気分!色とりどりでおしゃれだった舞台衣装も、役者さんたちみんなで手作り。

工作、ダンス…子どもたちと一緒に創り上げる「舞台」

そして開演時間になると、劇中の重要な役でもある“ブルーバードあおちゃん”が登場!工作の時間がはじまり、お芝居の前にみんなで“あおちゃんのなかま”を作ります。

舞台スペースにて、みんなで「とりさん」作り!3歳娘でも楽しく参加できました。
シンプルですがとても良くできていて、指に着けて羽ばたくように動かすことができます。息子は気に入って、家に帰るまで指につけてパタパタと飛ばしており、今でも自分の部屋に飾ってあります。それぞれの子どもたちが自分らしく飾りつけし、素敵な鳥がたくさんできていました。

そして次は、「森の精」と一緒にみんなで「こどもフェス体操」!何とも言えないリズミカルな音楽、ユニークな歌詞…劇団員の皆さんが全身を使って体操をしているのを見ていると、私までつい動きたくなってしまいました。一列に並び皆で電車になったり、寝転んだり、ジャンプしたりタッチしたり…子どもたちは大喜び!息子は、年齢もあるのかちょっと恥ずかしそうで、私たちの席と舞台を行ったり来たりしていましたが、最前列で満喫していた娘は、戻ってくると大きく息をついて一言、「楽しかった!!」と満足気。

「舞台」と一続きになっている座席。そして、その舞台の上で絵をかいたり、工作したり、踊ったり…と、自分も演劇の一員になっている感覚で、上演前の時点ですでに子どもたちの気持ちはとても盛り上がっており、役者さんからの「ヘンゼルとグレーテルは、どこに住んでいるの?」というような問いかけにも、みんな大声で我先に答えていました。大人よりも素直に感情を出す小さな子どもたちを、短時間でここまで高揚させることはかなり難しいはず。子どもたち自身が、より舞台を楽しむことができるよう、“劇が始まるまでに”子どもたちをわくわくさせてくださるイベント作り、非常に素晴らしいと感心しました。

想像力がかきたてられる「目前」の舞台!

舞台が始まると、大人の私まで最初からお話に引き込まれてしまいました。
文字通り「目の前」にある舞台は、役者さんたちの汗まで見える距離感。その分スペースは小さく、大道具小道具も限られたものだけ。舞台の端には楽器があり、効果音や音楽もキャストの方が入れ替わり立ち替わり担当されていました。
でも、舞台上にちゃんと、ヘンゼルとグレーテルの家や、森や、お菓子の家が浮かんでくる!
私にとっても演劇を観るのは久しぶりでしたが、想像力がかきたてられる、舞台のこの感覚ってすごくいいなぁと改めて感じました。
最後まで座っていられるか不安だった娘も見入っており、魔女が出てくると逃げようとしたり、グレーテルが泣くシーンでつられて泣いてしまうお子さんもいらしたりして微笑ましく、観劇する子どもたちの様子を眺めるのも楽しかったです。
CG技術、4D映画、VRアトラクションなどなど、産まれた時からすでに発達した映像技術に囲まれている子どもたちだからこそ尚更、こういった「舞台」ならではの良さを体感してほしいと思いました。



役者さんの声に引き込まれる…「よみきかせ」の時間

舞台はもちろん、是非おすすめしたいのが「よみきかせ」の時間。30分程度で、私たちが参加した回は、4つの絵本を読んでいただきました。

吹替を始め、個人的にファンだった大御所の俳優さんもご登場。あのお声で読み聞かせしていただき、私にとっても大きな想い出になりました!

今度は、役者さんが座る椅子の前にラグが敷いてあり、子どもたちは靴を脱いでそこで聞くスタイルでした。本当に、絵本を読む“だけ”なのですが、子どもたちは夢中になってどんどん前に出て行き、最初はラグ全体に広がっていた座っていたはずが、気づくと役者さんの周りにぐぐっと集まっていました。役者さんたちの「よみきかせ」は、やっぱり何かが決定的に違う!その差を是非体感していただきたいです。
よちよち歩き回っている子もいれば、「この話知ってる!」とオチを言ってしまう子や、「え~、そんなわけないよ!」など合いの手を入れるお子さんもいて、子どもたちのそんな予測のつかない反応にも癒されました。

皆さんの熱い想いのつまった舞台、そしてそれを通して、子どもたちの純粋さにも触れることができた1日で、大人の私たちまで一緒に童心に帰り、親子でわくわくしっぱなしだった忘れられないひとときとなりました。毎年6月頃に予約を開始しているので、気になったからは是非次回、ご家族で足を運んでみてはいかがでしょうか?

文学座

<参考>2018年開催概要

ぶんがくざ なつやすみ こどもフェスティバル

『ヘンゼルとグレーテル』
作・たかやなぎあやこ 演出・稲葉賀恵
対象年齢3歳以上
工作の時間と、お芝居の時間、あわせて60分くらい。
お芝居は30分くらい

☆よみきかせ(入場無料・要予約)☆
絵本の読み聞かせの時間です。
30分程度でいくつかのお話を読みます。
出演:坂口芳貞・三浦純子・添田園子・佐藤麻衣子・今村由香

『ヘンゼルとグレーテル』『♪ de だっこ』
料金(当日精算・消費税込・全席自由席)
こども 100円!
おとな 1000円

『♪ de だっこ』
0歳~2歳児に向けたミニシアター!40分くらい。
命が巡る四季にあわせて、歌ったり、動いたり、はしゃいだり…
えんげきのはじまりを、ゆったりと、ママもパパも一緒に五感で楽しんでください。

佐々木はる菜 Halna Sasaki

ライター

1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。

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