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あなたを幸せにする家にまつわるお金の話

収入が安泰とは限らない!プロが教える【住宅ローン】の考え方

  • LEE編集部

2018.07.27

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一生で一番大きな買い物である「家」。金額が大きいだけに、勢いで買っちゃうのは実はコワい!?

家を買えば一安心、というわけにもいかず、LEE世代は教育費に老後の資金と、まだまだたくさんのお金が必要・・・
あなたと家族が安心して幸せに暮らしていくコツを、家とお金のエキスパートにレクチャーしていただきました。

この記事は2018年1月7日発売LEE2月号の再掲載です。


家を買うことを決めたら、買った後で
住宅ローンの頭金・金利・返済・・・どっち?

 

≫ 無理なくローンを返せる物件を選ぶのがマスト

「絶対に無理のないローンを組むこと」が、家を買ううえで最も重要だと、ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんは強調します。

「収入が何十年も安泰とは限らない時代。大きすぎる金額で住宅ローンを組むと、将来返済が困難になる恐れがあります。ローンを返済しながら、年間50万円くらいの貯蓄をして、さらに教育費を貯めていく必要も。

また、老後にローンが残ると年金生活を圧迫してしまうため、必ず65歳までに返し終えるように組んで、退職金は計算に入れないように

35歳の方なら35年ローンではなく、30年ローンが最長。そう考えると、大きな金額は借りられないはずです」

“家賃並みのローン返済”といったうたい文句には要注意!

家を買ってからかかるお金は、ローンだけではありません。固定資産税や火災保険料のほか、マンションなら管理費や修繕積立金が必要。これらで年間40万~50万円は上乗せされます。
安心して家を買うために、無理なく支払っていけるかを必ず確認しましょう」

 住宅ローンの頭金「たくさん入れる」「少なくてもいい」どっち?

≫ 頭金が少ないのは危険!2 割は入れると安心です

今は低金利で、頭金ゼロでたくさんのお金を借りることもできますが……。

「それは危険です。まず頭金が少なく借入額が多いと、その分返済期間が長くなり、65歳までの完済が困難に。また何かの事情でローンが支払えなくなったときに、その時点の時価よりローン残高が上回っていると、家を売っても借金が残る、売るに売れない状況になります。

頭金は物件価格の2 割は入れられると安心。ただし、貯蓄すべてを頭金にできないことも注意!
登記費用など諸費用がかかり、その額は新築なら物件価格の5 ~ 7 %、中古なら仲介手数料がかかるため10%が目安です。

金額と折り合いがつかなければ、頭金が貯まるまで購入を先送りにするか、物件価格を下げるかで検討してください」(ファイナンシャルプランナー深田晶恵さん)

 

無理のないローン返済額、借入額の見つけ方は?

 

今の家賃と年間貯蓄額から身の丈に合った借入額がわかる

現在、年間で支払っている家賃と年間でできている貯蓄額を足し、ローン以外の住居費(修繕積立費や固定資産税など)と住宅購入後の年間貯蓄額(できれば50万円以上に設定)を引く。

これが1 年で無理なく返済できる額の目安。

それを以下の表の数値で割って100万円をかければ、無理のない借入額の目安に。さらに準備できる頭金を足すと、理想的な物件価格がわかります。

返済額
(現在の家賃月額10万円、年間貯蓄額100万円の場合)

 

借入額

※借入額100万円あたりの年間返済額
(元利均等返済、単位円)

20年 22年 25年 27年
0.90% 54,648 50,112 44,676 41,724
1.00% 55,176 50,652 45,216 42,276
1.20% 56,256 51,732 46,308 43,368
1.40% 57,348 52,836 47,424 44,496
1.60% 58,452 53,952 48,552 45,624

 

30年 33年 35年
0.90% 38,040 35,028 33,312
1.00% 38,592 35,580 33,864
1.20% 39,708 36,708 35,004
1.40% 40,836 37,848 36,156
1.60% 41,988 39,012 37,332

 

住宅ローン控除があるから、借入額は多いほうがいい?

 

住宅ローン控除は"おまけ"程度で、借りすぎには気をつけて

住宅ローン控除とは、年末時点のローン残高の1 %の税金が戻る制度。ただし最大控除額は40万円(ローン残高が4000万円以上。一般住宅の場合)。

「10年間フルで控除を受ければ400万円が戻ってくる計算ですが、それには借りてから10年後もローン残高が4000万円以上ないといけません。

税金が戻ってくるからと借入額を増やすと身の丈以上のローンを組んでしまうことになるので、控除はあくまで"おまけ"程度に考えましょう

また『すまい給付金』という制度もありますが、最大の30万円をもらうには年収の目安が425万円以下などの条件があるので、こちらも過度な期待はしないように」(ファイナンシャルプランナー深田晶恵さん)

こんな人は住宅ローン控除を使えない!

「住宅ローン控除の条件のうち、特に気をつけたいのが床面積。『登記簿上』で50㎡以上が条件です。チラシでは55㎡でも、登記簿上は49.7平米という場合もあるので注意して
住宅ローンの残存期間が10年以上というのも条件。中古物件は、原則的に築20年以内。築25年以内なら耐火建築物でないと適用になりません。
また転勤によって人に貸す場合も、控除を受けられないので気をつけて」

 住宅ローンの金利、「固定」「変動」どっち?

≫ 全期間固定金利こそ超低金利のメリットを生かせる

住宅ローンの金利は、0.625%などの低い変動金利に目がいきがちですが、それは避けて!

今の超低金利の恩恵を受けられるのは『全期間固定金利』。借りた時点の金利が全期間約束されるからです。10年前は3 %近くでしたが、現在は1 %台前半なので非常に低い水準です。

変動金利は低いですが、今後数十年で金利が上がる可能性があります。金利という不確定要素を減らして安心を増やすためにも、今は全期間固定金利がおすすめ。

また、返済期間が短いほど支払う利息は少なくなります。毎月返済できる金額を考えながら、返済期間の短縮も検討を」(ファイナンシャルプランナー深田晶恵さん)

こんな人は借り換えるとおトク・安心!

今の金利(固定金利選択型または変動金利型)と、借り換え先の10年固定金利型との差が1%以上の差があれば、借り換えるとおトクに。
変動金利で借りている人は、今は超低金利で、長い目で見ると金利が上がる可能性が。不確定要素が増えるので、早めに固定型に変えて安心を得ても。

主な金利タイプはこちら

・全期間固定金利型
・固定金利選択型(10年固定金利など)
・変動金利型

全期間固定金利型は借りている全期間で金利が変わりません。代表的な「フラット35」は、現在1.4%前後(頭金を1 割以上入れ、期間21年以上の場合)。

変動金利型は半年ごとに金利が見直され、上がることも。メガバンクAでは0.625%。

固定金利選択型は、決められた期間は固定金利で、それ以降は金利が変わるもの。例えば10年固定金利なら、メガバンクAで1.05%です。(金利は2017年12月現在のもの)

 ローンの返済は、「頑張って繰り上げ」「のんびり返す」どっち?

≫ しばらくは繰り上げなしでOK。頭金で減った貯蓄を増やして

「金利が高かった時代は繰り上げ返済の効果が高かったのですが、超低金利の今はそれほど大きくありません。

例えば3000万円を35年固定、金利1.5%で借り、1 年後に100万円を返済すると、浮く利息は約60万円。
確かにおトクではありますが、頭金で大きく貯蓄が減って、しかも妻の時短勤務、収入減などが重なる時期だと考えると、手元の100万円がなくなるのはリスクが大きい。少なくとも3 ~ 4 年は、減った貯蓄を回復させる時期にして。

繰り上げ返済計画の計画は、子どもの受験や車の購入で大きなお金が必要な時期を除いて立てるとよいでしょう」(ファイナンシャルプランナー深田晶恵さん)

 

繰り上げ返済と貯畜のいいバランスは?

 

「ローン残高<貯蓄」になったら繰り上げ返済を考えても

「子どもがいると出費もどんどん増えていく時期、手元資金が足りなくなってしまうとコワいので、まずは貯蓄を増やすのが第一です。
繰り上げ返済をするとしたら、だいぶ先、ローン残高を貯蓄が上回ってからでも遅くありません。焦りは禁物です」

本当に最低限、これだけは手元に残しておきたいという金額の目安は下記のとおり。

繰り上げ返済後、最低限残すべき貯金額

30代 300万円+教育費
40代 500万円+教育費
50代 700万円+教育費

 

おすすめは「期間短縮型」

期間短縮型にすれば60歳以降の返済負担を減らせる

繰り上げ返済には、期間短縮型と返済額軽減型の2つの方法があります。

おすすめは『期間短縮型』です
毎月の返済額はそのままで、返済期間を短くするもので、65歳までローンを組んでいる場合は、収入が減りやすい60歳からの期間を短くして、負担を減らすことができます。65歳より早く返し終われるローンの場合も同様で、老後資金に余裕ができます。

一方で『返済額軽減型』は、例えば3000万円を金利1.5%、返済期間35年で借りて、5 年後に100万円を繰り上げ返済したとしても、月々3400円しか返済額が少なくなりません。

今は超低金利なので、大きな金額を投入しないとおトク感が薄いのです」


イラストレーション/前田はんきち 取材・原文/西山美紀
この記事は2018年1月7日発売LEE2月号『あなたを幸せにする家にまつわるお金の話』の再掲載です。

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