相馬由子

井上きみどりさんの漫画で読む、衝撃的なアフガニスタン女性の現状

国際協力機構(JICA)が中心となって運営している「なんとかしなきゃ!プロジェクト」。このプロジェクトは、世界の国々、特に発展途上国で起こっている問題を正しく知り、自分の問題として捉え、私たちができることを見つけるための活動を行っています。毎週、各国の現状が見えるトピックスをウェブサイトで配信しているほか、「贈る」「参加する」「募金する」など、すぐにでも自分がやりたい方法で参加できる国際協力を、アクション別に紹介するページもあります。

アフガニスタンの女性の暮らしを描いたマンガ

今回は、「なんとかしなきゃ!プロジェクト」のウェブサイトに現在公開されている、漫画家・井上きみどりさんの作品をご紹介したいと思います。

アフガニスタンと聞いて、どんな印象を持つでしょうか? テロが頻発し治安が悪いことや、男女の格差が激しいということは、なんとなく知っているという人も多いでしょう。私も、なんとなく知っている程度でこの作品を読み、とても衝撃を受けました。自分自身も、娘を育てる母親として、こんなことが同じ地球上で起こっていることにショックを受けると同時に、遠い国のことでも、まずは事実を知ることが大事なのではないかと思い、ここで紹介したいと思います。

アフガニスタンでは、10歳くらいになると学校や公共の場では男女別々に分けられ、家族以外の男性と会うことも、目を合わせることも禁止されているそうです。今回、井上きみどりさんが描いているのは、そんなアフガニスタンの女性たちのこと。『アフガニスタンで警察官になった女性たち』では、実在の二人の女性のエピソードを中心に、どんな女性たちが警察官になっているのか、彼女たちをJICAがどう支援しているのかなどが、わかりやすく描かれています。

10人中9人の女性が何らかの暴力を受けている

この作品を読んで私がまず驚いたのは、アフガニスタンでは、10人中9人の女性が、何らかの暴力被害に遭っているということ。しかし、家族にすら相談できなかったり、相談しても「悪いのはお前の方だ」と逆に女性側が罰せられたり、とにかく女性の立場が弱く、被害を受けても声をあげられないという現状があるそうです。暴力を受けただけでも、心に深い傷を負うと思いますが、それが誰にも相談できない、味方が誰もいないという状況、悲しすぎますよね。

まだ子どものうちに、親が決められた相手と強制的に結婚させられ、夫からの暴力に耐えている女の子もいるとか。

身近な人からの暴力から抜け出し、警察官になった女性

この作品の最初に登場するシャイマさんも、子どもの頃に引き取られた伯父に暴力や性的暴行を受け、誰にも助けてもらえないまま大きくなりました。15歳で、伯父の身内の10歳も年上の男性と強制的に結婚させられ、高校をやめさせられた挙句、夫からも暴力を受け暮らしていたそうです。

アフガニスタンでは、「妻は夫に従うもの」という考えが根強く、誰も助けてくれない中、思い切って離婚し、警察官になる道を選んだシャイマさん。

どんなに辛い状況の中で暮らしてきたのか、マンガの中では具体的に描かれていますが、これらのエピソードを読むと、「もし自分だったら」「もし娘がこんな目に遭ったら」と考えてしまい、胸が締め付けられます。

アフガニスタンでは、離婚すると一生後ろ指を刺され、身内からも見放されるそうですが、それがわかっていながらも離婚に踏み切ったシャイマさん。その一歩を踏み出すのに、どんなに怖かっただろうか、どれほど勇気がいることだっただろうかと、私が想像できる何倍もの苦しみを体験したかと思うと、自分だったらそんな決断ができるだろうかと考えてしまいました。

アフガニスタン政府も、こういった状況に問題意識を持っていて、女性も安全で平和に暮らせる国になるためには、女性警察官が必要だとして取り組みを始めています。女性警察官になるための研修を、日本のJICAがサポートし、毎年トルコで行っているのだとか。2017年には250人が参加したそうです。

日本もまだまだ男女格差があると言われていますが、学ぶことや働くことは当たり前の権利としてあります。でも、この作品を読むとそれが当たり前ではないことに改めて気づかされます。何十年、何百年とかけて、先人たちが切り開いてきてくれた結果なのかもしれないなと思いました。

まずは世界で起こっていることを正しく知ることから

暴力に抵抗すれば余計に危ない目にあうかもしれない、世間から白い目で見られるかもしれない、そんなリスクがあることを知りながらも、未来のために戦っているアフガニスタンの女性たち。

現状に諦めず、前を向いて少しずつでも道を切り開くことの大切さを改めて教えられるとともに、アフガニスタンの女性たちが、暴力に怯えずに、平和に前向きに暮らしていける日が1日も早く来ることを願わずにはいられませんでした。直接的な支援はできなくても、遠く離れた国からでも、常に関心を持って正しく情報を知ることの大切さも、同時に感じています。

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