LIFE

30代から知っておきたい「乳がん」のこと

【乳がん体験談】5歳と2歳の子どもを抱えての乳がん発覚。自覚症状はなくて・・・

  • LEE編集部

2018.05.26

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女性なら誰もが気になる病気、乳がん。30代、40代の忙しいLEE世代がもし今、罹ったら、生活は、仕事はどうなるのでしょうか?
乳がんを患いながらも、たくましく日々を生きる女性たちの貴重な体験談を伺いました。

この記事は2018年2月7日発売LEE3月号の再掲載です。

 

福岡県・パート 岩崎和代さん(仮名)

PROFILE
36歳。夫、7歳の息子、4歳の娘の4人家族。
メーカーの事務職としてパート勤務。実母が乳がんで亡くなっており、義父母の助けで乳がん治療を行う。現在は、再発を防ぐためのホルモン治療中。

 

しこりができず自覚症状はなし。突然の告知に号泣しました

貴重な経験を話してくれたのは、LEE読者の岩崎さん。岩崎さんが乳がんだとわかったのは、2016年1月。34歳という若さでの罹患でした。

「母が同じ乳がんで亡くなっていたので、母の主治医のすすめで30歳から毎年検診に行っていました。検診の前に自分で触ってみてしこりはないはずが……突然の乳がん宣告。しこりを形成せずに広がるタイプで、すでに5㎝になっていると説明を受けました。
検査着から着替えるために一人になった途端、大号泣。実の両親は他界しており、夫と義母は仕事をすぐに抜けられず、義父が駆けつけてくれて絶句していました」

当時、子どもたちはまだ5歳と2歳。がんの進行度を知るために精密検査を受ける1カ月間は、精神的な負担が大きかったそう。

「振り返ると、どんなに治療がつらいときよりもこの期間が一番きつかった。骨にも肺にも転移しているかもしれない、母も乳がんで元気な状態から亡くなるまでを見届けているので、自分も同じようになるのかもしれないと、悪いイメージばかりが浮かびました。
夫もかなり参っていて、私が死んで、西日の差すアパートで一人で子どもたちを育てる、みたいなことをリアルに想像したそうです」

幸い転移はなく、治療を行えば、10年生存率は80%だと説明が。そこからは前向きさを取り戻し、すぐに治療に入りました。

抗がん剤治療は想像以上の過酷さで・・・

抗がん剤で小さくしてから全摘手術を行うという流れになり、まずは抗がん剤治療を開始。これが想像を絶する過酷さだったと言います。

「3週間に1回の抗がん剤を4クール、違う抗がん剤でさらに4クール行いました。

投与してからの3~4日は激しい嘔吐で何も食べられず。最初の投与から2週間ぐらいで髪が抜け始めました。頭をかくとごっそり毛が取れて、抜けるときの独特のぞわぞわした感じは忘れられません……。

その後、全摘手術を受けたのですが、おっぱいがなくなる悲しさよりも『これで抗がん剤が終わる!』という気持ちが先にきました。それぐらい、抗がん剤治療は壮絶でしたね

大変な治療を行う間、仕事や家庭の運営はどのようにしていたのでしょうか?

「仕事は『治療後の生活もあるから』と、主治医が就労は問題ないという証明書を書いてくれて続けました。お休みしたのは、抗がん剤投与後の1週間と入院前後の3週間だけ。顔のむくみやなぜか鼻血が出やすかったりと、会社の人には心配をかけましたが、今は辞めずに続けてよかったと思います

家庭のことは、夫と義父母が頑張ってくれました。夫と義母は仕事があるので有給やシフトの調整をしてくれましたが、どちらも難しいときは義父が泊まり込んで子どもたちの世話をしてくれました。

九州男児で家事育児はまったくしてこなかった義父が、子どもを着替えさせたり、ソーセージを焼いたり。『俺にこんなことさせた女はおまえだけだ~』と冗談交じりに言いながらも助けてくれました」

まだ幼い2人の子どもの反応は?

「発覚した頃、兄に頻繁なまばたきが見られて、ストレスなどで起こるチック症の様子がありました。ただ、すぐに落ち着いて、私がつらいときには妹をお風呂に入れて体を洗ってくれたり、思いやりの気持ちを表してくれていましたね。

娘はもっと小さいので、今はよくわかっていないのですが……私は娘の将来が心配で。私も実母も乳がんだったということは、娘にも遺伝するかもしれません。娘の遺伝子検査を受けようとしたのですが、主治医に全力で止められました。

今の社会ではこの検査も、もし遺伝性だとわかって、例えば予防的に乳房を切除するとしても、保険はきかないので高額な費用がかかります。娘にどう伝えるのかなど含めて、やめておいたほうがいいと。本当に気がかりで、こう思う娘を持つ乳がん経験者の母親はたくさんいます。このことがもっと広く知られたらいいなと思います」


イラストレーション/macco 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2018年2月7日発売LEE3月号『30代から知っておきたい「乳がん」のこと』の再掲載です。

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