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相馬由子

共働きでもOK! ホストファミリーになって子どもに自宅で国際交流を! 

  • 相馬由子

2018.04.24

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最近では、幼児の頃から英語を習わせる家庭が増えていますよね。我が家でも、保育園で週に1回、年少の頃から習っています。でも、英語を習うのと同時に、異文化の国の人々と接することに慣れることの方が大事なのではないか。そう考えていた時、留学生のホストファミリーになると、家に居ながらにして国際交流ができるし、日本に学びに来る学生の役にも立てて一石二鳥という話を聞きました。

そこで、ホストファミリーになるにはどうしたらいいのか、誰でもなれるのかなどを、留学生の派遣と受け入れ、国際交流活動を行っている、公益財団法人AFS日本協会埼玉支部・副支部長の松本かおりさんにお聞きしました。

家にいながらにして異文化に触れる体験を

松本さんは、AFSのボランティアをしていた知り合いから、ホストファミリーを探しているという話をたまたま聞いたことがきっかけで、ベルギー人の男子高校生を1年間受け入れ、それ以降、AFSのボランティアスタッフをやるようになったそう。

画像提供:松本かおりさん

その頃、松本さんのお子さんは小2と年中。小さいお子さんを育てながら高校生を受け入れるのは、大変ではなかったのでしょうか?

「大変なこともありましたが、ボランティアスタッフからのサポートもあり、むしろ得るものが多かったです。小さいうちに、日本とはまったく違う他の国の文化に触れることで、むしろ子どもたちにも多くの学びがあったと思います。私自身も、ヨーロッパならではの『ママを大切にする家族のあり方』など、日本とは違った文化に触れ、自分の子育てについて考えるきっかけになりました。また、1年間一緒に過ごすと、子ども同士、仲良くなります。遠いヨーロッパの国に兄弟ができたような感覚で、外国にも興味を持つようになりましたね」(松本さん、以下同)

子どもたちは、慣れてくると本当の兄弟のように打ち解け、子ども同士で出かけることもあったそうです。

「うちに来て数カ月経ってからのことですが、長男と2人、関西にある夫の実家まで新幹線で行ったことがあって。片言の日本語でのコミュニケーションでしたが、とても楽しかったみたいです。貴重な経験をさせることができたなと思います」

私自身は、大人になるまで、外国の人と話すのが怖いという苦手意識を持っていましたが、松本さんの子どもたちのように、幼児や低学年のうちから、言葉や文化の違いを受け入れ、それを尊重し合うことを経験することは、早いうちから英語を勉強すること以上に、大切なことなのではないかと思いました。

共働き家庭でもホストファミリーになれる?

画像提供:松本かおりさん

ところで、ホストファミリーになる家庭は、お母さんが専業主婦で、留学生を手厚くお世話してあげられる家庭というイメージがありますが、共働きでも大丈夫なのでしょうか?

「私も仕事をしていましたし、特に問題はないと思います。むしろ共働きの方が良い点もあります。完璧にやろうと思うと、お互いに疲れてしまいますが、仕事をしているとそもそも無理なので、逆に程よい距離感を保てるという声も多いです。それに、最近ホストファミリーをやってくださっている家庭は、埼玉支部の場合は共働き家庭の方が多いですよ」

AFSでは、ホストファミリーは、留学生とともにこの教育プログラムに参加する「仲間」というのが基本的な考え方だそう。報酬はなく、無償で生活の場と三度の食事を提供してもらうのだとか。そのため、家庭それぞれのライフスタイルや生活習慣は保った上で、留学生を受け入れてもらうのだそうです。とはいえ食事などは、いつも通りで大丈夫なのか気になりますが、日本の普通の家庭料理で問題ないそう。

また、言葉の壁が気になりましたが「留学生たちは日本の普通の高校に通うことになるので、日本語を勉強しています。日本語でコミュニケーションをとれば大丈夫です」とのことでした。

ホストファミリーになれる条件ってある?

画像提供:松本かおりさん

では、ホストファミリーは誰でもなれるのでしょうか? AFSを通してホストファミリーをやる場合の具体的なプロセスを教えてもらいました。

「まず最初に、ホームページなどから問い合わせをいただくと、申し込み書類をお送りするので、それを提出していただきます。ホストファミリーになれる条件などはなく、基本的にはどなたでもなれるのですが、ボランティアスタッフが家庭訪問に伺って、留学生が日本で安心して勉強できる環境を提供できるかどうかを確認した上で、ホストファミリーになっていただくという流れです。よくマンションではダメなのかとか、個室を与えられる広さが無いけど大丈夫か、などを聞かれることが多いのですが、その点はまったく問題ありません」

ホストファミリーになると、基本は1年間、同じ学生を預かることになるそうですが、どうしても相性が合わないということも実際にはあるそう。

「困ったことがあったら、ボランティアスタッフがいつでも相談に乗りますし、何らかの理由で、どうしても相性が合わない場合は、ホストファミリーをチェンジするという対応を例外的にすることもあります」

今回話を聞いて、私自身もホストファミリーに興味を持ってきました。でも、いきなり1年間というのは、とてもハードル高く感じます。

「短期の留学生を受け入れたり、ウェルカムファミリーといって来日して最初の1カ月間を受け入れていただくケースもあります。受け入れ期間については、家庭訪問の際に、ボランティアスタッフに相談していただければいいかと思います」

自分自身、留学やホームステイの経験が無い私としては、1年間というのはハードルが高いと思ってしまいましたが、短期間から始められるならできそうだなと思いました。



帰国後もSNSなどで交流、遠い異国に家族ができる

松本さんの家庭では、1年後にベルギーに帰国してしまった後も、SNSなどで交流が続いているそうです。また、AFSで受け入れる留学生は高校生ですが、その後、日本の大学に改めて留学してくる子もいたりして、交流が長く続いている家庭も多いとか。

留学生を受け入れることで、今までまったく接点のなかった遠い国のことを知ったり、それをきっかけにして世界の出来事に興味を持ったりすることは、子どもにとってもいい刺激になりそうです。小さいうちに留学させたり、親子留学も増えていると聞きますが、それ以前に、家にいながらにしてできる国際交流、検討してみてもいいかもしれませんね。

※AFS日本協会埼玉支部の情報はこちらから。

相馬由子 Yuko Soma

ライター

1976年、埼玉県生まれ。夫と7歳の娘との3人暮らし。編集プロダクション、広告系出版社を経て独立。ウェブ、雑誌、書籍などで編集、執筆を手がける。最近では、子育て、アウトドア、旅、食などのテーマを担当することが多い。合同会社ディライトフル代表。

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