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人には言えない下半身の3大悩みケア

20~40代の女性にも多い!「痔」の種類と治療法

  • LEE編集部

2018.03.25

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常につきまとう悩みにもかかわらず、人に相談しにくいし、病院を受診するにも勇気がいる"下半身"のトラブル。
かつては産後ママ特有のもの、と思われていましたが、どうやらそうでもないようで……。
10年、20年後も元気でキレイでいるために、下半身のケア、始めましょう!

この記事は2017年11月7日発売LEE12月号の再掲載です。


日本人の3割が経験あり!自覚のない「痔主」も多数!

日本人の3割が経験者といわれるほと、痔はポピュラーな病気です

そう教えてくれるのは、日本大腸肛門病学会専門医、マリーゴールドクリニック院長、医学博士の山口トキコ先生。

「痔は中高年男性がなるもの、というイメージが強いかもしれませんが、実は女性にもとても多い病気。中でもLEE世代で痔に悩む方は多く、当クリニックの患者さんの7割が20~40代の女性です」

痛い、けど恥ずかしくて人には言えない・・・人知れず"痔主"となり悩みを抱えている方も多いよう。
また、痛みがない痔だと、自覚がないまま放置してしまい、重症化するという例も。

気づいてないだけで、その症状も「痔」かも?「痔」の種類と治療法

「痔には大きく分けて4つの種類があり、男女ともに患者数が最も多いのはいぼ痔(内痔核)。ですが、LEE世代では切れ痔が一番多く、これはかたい便や下痢によって肛門の皮膚が切れてしまうものです」

【 痔の図解 】

 

種類 切れ痔(裂肛)

肛門の皮膚が裂けたり切れたりするのが切れ痔。多くの場合は便秘が原因で、かたい便が肛門を無理やり通るときに、周囲の皮膚を傷つけてしまうことで起こる。
ほかには、香辛料などの刺激物によって傷つけたり、激しい下痢で皮膚がこすれて切れる場合も。
排便のたびに切れた部分が痛み、少量の出血があるが、生活習慣の改善などで原因を取り除けば、1~2週間で治る場合が多い。肛門を温めたり、市販の痔薬を使用すると痛みが緩和されてラクに。

» 慢性化すると・・・

排便のたびに切れ、切れ痔が慢性化すると傷はどんどん深くなっていき潰瘍状に。皮膚の表面にはいぼができたり、肛門が狭くなる肛門狭窄が起きる。肛門狭窄になったら、肛門を広げる手術をする場合も。

 

種類 穴痔(痔ろう)

肛門のくぼみから大腸菌や便が入り、お尻のほうにのびた肛門腺が化膿する痔ろう。化膿が肛門周辺に広がると、腫れて痛み、38~40℃の熱が出る。主な原因は下痢。
液状の便は肛門のくぼみに入り込みやすく、便に含まれる細菌によって炎症を起こす。化膿した部分の皮膚はやがて破れ、膿が出切ると症状は治まるが、膿の通り道はトンネルのように残るために細菌感染をくり返しやすく、再発しやすい。根治には、膿の通り道を除去する手術が必要。

種類 いぼ痔(内痔核)

痔の中で最も多いのがこれ。便を出そうといきみすぎたり、下痢で強くこすれると静脈の一部がうっ血して、肛門の付近がいぼ状に腫れる。

肛門の内側、直腸側にできるのが「内痔核」。一般的にはいぼ痔は内痔核を指すことが多い。

軽度であれば痛みがなく、大きくなるにつれて出血を伴うように。放置しておくとさらに大きくなり、排便時に肛門の外に飛び出してしまい、指で押し込んでも戻らなくなる

さらに症状が進むと粘液で下着が汚れたり、痔核が傷ついて痛んだりも。

【 Ⅰ度 】

直腸内に痔核ができる。外に飛び出すことはなく痛みもないが、排便時に出血も。食事や生活習慣の改善で治すのが基本。

【 Ⅱ度 】

排便時に痔核が肛門の外へ飛び出すが、排便が済むと自然に引っ込む。痔核を小さくする注射や、手術で取り去る等の方法が。

【 Ⅲ度 】

排便のたびに痔核が肛門の外に飛び出す。自然には戻らないが、手で押し込めば戻る。痔核を小さくする処置や手術で治す。

【 Ⅳ度 】

痔核が外に出たままになり、手で押し込んでも戻らない。痔核から粘液がしみ出て、傷つくと痛む。外来処置か手術で治療。

種類 急性の痛みを伴ういぼ痔(外痔核)

原因は内痔核と同じで、静脈のうっ血によるいぼ状の腫れ。いぼが肛門付近の外側にできるので「外痔核」。
強くいきんだとき以外でも、お酒を飲みすぎた後突然できることも。妊娠中に急に痔になる人は、外痔核が多い。
排便時に限らず強い痛みを伴い、排便を我慢するようになり、それがまた便秘を悪化させるという悪循環に陥る場合も多い
外来処置や手術ではなく、薬や生活習慣や食事の改善で治ることがほとんど。

【 血栓性外痔核 】

肛門周囲にいぼができ、いぼの中に血栓(血のかたまり)ができたもの。皮膚が破れると出血し、激しい痛みを伴う。

【 嵌頓(かんとん)痔核 】

外痔核や内痔核のいぼの中に、たくさんの血栓ができた状態。いぼが肛門の外に出て腫れ、押し込んでも戻らず、激しく痛む。

「症状や治療法は分かれますが、いずれの痔も、排便時に肛門に負担がかかることが原因。痔にならないためには、スムーズなお通じが必須なのです」(山口先生)

「痔」に

Point1 水分不足
便のやわらかさは含まれる水分量によって決まるもの。便をやわらかくして出しやすくするためには、水分をしっかりとることが大事!
水をそのまま飲むだけでなく、汁物やおかゆもOK。ほかにも、日頃メニューには汁気の多いものを心がけるといい。

Point2 食生活の乱れ
最近主流の炭水化物抜きダイエットは、穀物からの食物繊維がとれず、便秘の要因に。パンよりもお米が食物繊維は多くとれるので、制限しすぎないようにして。
また、アルコールは肛門を刺激したりうっ血させて痔を悪化させるので、控えたほうが◎

Point3 冷え
運動不足や同じ姿勢をとり続けていることで血行が悪くなり、痔になりやすく。冷えは下痢を引き起こし、これも痔の原因に。
入浴はきちんと湯船につかって体を温めて。ぬるめのお湯にゆっくり入るとリラックスして副交感神経優位になり、腸の働きにも好影響

痔は、程度が軽ければ自分で治すことができます」と山口先生。

「その場合は、排便の仕方や食生活の改善、運動不足の解消や冷えの予防など、生活を見直すことが基本。

生活が改まらずに便秘や下痢が続くようだと、重症化したり再発をくり返し、慢性化すると投薬治療や、さらには手術が必要になることも。内痔核のように痛みがない痔だと、自覚がないまま放置してしまい重症化するという例も。

よく、『妊娠中や出産後は痔になりやすい』といわれますが、実は違います。妊娠前から痔を持っていてそれが悪化しただけだったり、もともと痔になりやすい生活習慣であることが多い。
ですから、妊娠中や出産後に気をつけるのはもちろん、痔の症状がある人は妊娠前にしっかり治しておくべきなのです。

また、40代以降はがん年齢に突入しますが、肛門科の受診をきっかけに大腸がんや肛門がんが見つかるケースもあります。痔になったらためらわず、専門医を受診してほしいと思います」


撮影/フルフォード 海 イラストレーション/藤井昌子 取材・原文/遊佐信子
この記事は2017年11月7日発売LEE12月号『人には言えない下半身の3大悩み「痔」「尿もれ」「膣のケア」』の再掲載です。

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LEE編集部 LEE Editors

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