子どもに"ちゃんと伝わる"話し方

ママも自分を褒めて!自己肯定感が親子ともにカギ/小島慶子さん×河崎 環さんweb限定対談【第2回】

勉強ができなくても謝らなくていい。親のための勉強にならないよう注意

河崎 小島さんは先ほどから、お子さんが言いたいことを言えるようにだけはしているとおっしゃっていたんですけど、やっぱり直接的に伝えることがメインですか? 子どもに自分の意見を言わせるために、他にしていることはありますか?

小島 基本は直接言うことですね。「ママと違う意見でもいいから、今、どんな気持ちなのか教えて」というふうに。でも、それをやっていれば、ある日急に自分語りをし始めるかっていうと、そうでもないんですね。やっぱり子どもって親に気をつかうし。だから、まめに聞くようにしているんですけどね。
私もほら、話量が多いから、相手の発言の機会を奪ってるのを知ってるので、「私ばっかりしゃべってすみません、マイクを渡します」みたいな(笑)。だいぶ意識してやってるんですけどね。
数日前、次男が日本語学校のプリントが超めんどくさくて、FaceTimeしながら、だらーって溶けてたんですよ。あんまりやらないから、夫が「じゃあママの横でやりなさい」って言うから、私は画面越しに見張ってたんです。
私が「ちゃんとやりなよ」と言ったら、次男が、「ごめんね、ママ。僕、日本語の勉強苦手でごめんね」って言ったんで、「それは謝らなくていいんだよ」って。勉強が苦手だったり、何か不得意なことがあるのは、謝る理由ではないと。ただ、「僕はこれ苦手なんだ。じゃあどうやって勉強したらいいか教えて」とか「ちょっと助けてくれる?」ということは言っていいんだよと。でも、誰にも謝る必要はない。だから「ごめんね」って言わなくていいよっていうふうに伝えたんですね。
子どもは親をなだめるために謝って済ませようとすることって、本能的にあると思うんですよね。だからそのときに、「あなたは謝らなくていい」と言うのも、「NOと言っていい」というメッセージのひとつです。罪悪感を抱けば許される、みたいなメッセージを与えてはいけないとも思うし。

河崎 確かに子どもが何かして叱って、さっきはごめんなさいと謝ったらそれでいいかな、みたいな流れにどうしてもなってしまいがち。それもひとつ罪悪感を植えつけていることになるのかもしれませんね。

小島 たとえばきょうだいゲンカして手が出たのだったら、相手に謝るのは大事なことです。間違ったことをしたと反省の弁を述べるのも。
でも、ママが怒ってるから謝っとこうというのは違う。そこを、親の側が峻別しないといけない。息子の「日本語の勉強が苦手でごめんね」っていうのは、私をなだめるための謝罪ですよね。だから、人をなだめるための謝罪はしちゃいけないという。

河崎 その見極め、難しいですね。謝ることによってようやくこのサイクルが終わるみたいな、これでピリオドみたいな流れ、ありますよね。

小島 そうなんですよ。でもやがてそれが今度は内面化して、自分にベクトルが向くと、自分の不完全さとか、自分の過ちに気づいたときに、自分を責めることが贖罪だと思ってしまうわけですよね。それはきわめて危険です。私がそれでした。私なんか死ねばいいって言い続けることによってしか、自分を許せなかったわけですよね。
許そうとする行為というのが責めるという行為とイコールになってしまう。で、自分で自分に謝らせようとするわけですよ。他人にも自分にも“なだめるために謝る”っていうことを決して肯定しちゃいけないんです。これは、ぜひ息子たちにわかってほしいことです。

河崎 「ごめんなさい」で済まさせない。そのためには、どういう声がけを?

小島 もし子どもが「ごめんなさい」って言ったら、「何で『ごめんなさい』って言ったの?」それで「ママ怒らせちゃったから」ときたら「私は、君が私を怒らせたことではなくて、君が人をぶったことに怒っているんだよ」と話します。
なぜ私に謝ろうと思ったのか、「ごめんね」は誰に対して言うべきだと思うか、っていう対話を心がける。
叱り方がきつかったときは謝って、たとえば「仕事でイライラして余裕がなかった、ごめんなさい」とか、自分の現状についても話します。

河崎 同じ言葉を発しても、それが呪いになるか、ならないか、っていうのは、後の対応にかかってるっていう。

小島 第1回目でお話しした、「せめて呪いを解く鍵をセットで」というのはこういうことで、子どもが状況を客観的に分析して、俯瞰の視点で見られるようになったときには、すでに鍵は開いてるわけなんですよね。
そうした俯瞰の視点を持つためには、対話することしかない気がして。そのときどう思ったのかとか、どうすればよかったと思うかなど、自己分析しないと答えられない質問をするように工夫しています。時間かかるし、しんどいんですけど、私の場合は、今のところ、それでジタバタやっている感じです。

河崎 単純に「ごめん」っていう言葉さえ子どもから引き出せたら、そこで決着がついたような気がするっていうコミュニケーションを、案外私たち、無自覚にやってきちゃっていますよね。いまだに、その「ごめん」を聞かないと逆に決着しなくて、納得もしないという親はむしろ多いですし、それこそ学校でさえそういう事態っていっぱい起こっていると思う。
その「ごめん」っていう言葉自体を、こんなに自問自答してらっしゃる方ってなかなかいらっしゃらないと思うのは、やっぱり小島さんが“毒親サバイバー”であるがゆえなのかなって、今聞きながら思いました。

小島 母も父も姉もコミュニケーションが下手すぎるので、彼らの背負っている悲しさやこじれを見て気づいたことがたくさんありますね。

PROFILE

小島慶子(こじまけいこ)
1972年生まれ。タレント、エッセイスト。
新著『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)のほか、『ホライズン』(文藝春秋)、『解縛(げばく) ~しんどい親から自由になる』(新潮社)など著書多数。拠点をオーストラリアに置き、日豪往復の日々。

河崎 環(かわさき たまき)
1973年生まれ。フリーライター、コラムニスト。
予備校講師などを経て、2000年より「All About」にて子育てコラムをスタート。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)。LEEweb「暮らしのヒント」での連載「ママの詫び状」も好評!


2017年11/7発売LEE12月号『呪いの言葉、かけてませんか?子どもに"ちゃんと伝わる"話し方』から
第3回目は11/21に公開!
撮影/露木聡子 ヘア&メイク/中台朱美〈IIZUMI OFFICE〉(小島さん) 取材・原文/野々山 幸

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