子どもに"ちゃんと伝わる"話し方

ママも自分を褒めて!自己肯定感が親子ともにカギ/小島慶子さん×河崎 環さんweb限定対談【第2回】

子どもの言葉で覚醒。「母のレース」に参加していると、それに気づけない場合も

河崎 小島さんも私も、偶然にも、言葉を獲得した子どもの言葉によって、呪いをかけそうなところから覚醒したってことになりますかね。

小島 そうですね。だからやっぱり、私は彼らには感謝していて、本気で彼らのこと尊敬しているんです。救ってもらってるというか、気づかせてもらってきたので。子どもが言葉を獲得し、彼の脳みそが繰り出してきた言葉によって……。

河崎 もう1回フィードバックとして受けて。

小島 そう。

河崎 お子さんが発する言葉に、自覚的になられたのはいつ頃ですか?

小島 いや、私は出産前から意識はしてたんですよね。何しろ谷川俊太郎さんの『はるかな国からやってきた』という詩集で、「ぼくはぼくだ」っていう詩の一節に激しく共感して、立ち上がったときに破水しましたからね。

河崎 そこで破水!

小島 うん、本をパタンとしたところで、ポンという破水の音が(笑)。そこからの誕生ですから。だから「ぼくはぼくだ」の人なんだって、息子のことを最初から思っていたんです。思っていても、やっぱり(自分と同一視することを)やっちゃってるんですよ。

河崎 親になるまで考えていたこととか、持っていたはずの信念とは別の思考回路で、気持ちのいい方向に流れてしまうんですよね。周囲に認められる方向に
読者の皆さんもそういうところで悩んでいるんじゃないですかね。頭ではわかっているんだけれども、やっぱり感情的にそうなってしまうとか。周りを見ても、やっぱり自分は親としてこのままじゃいけないんじゃないかと思って、思わず“支配する親”の側に同調してしまうとか。

小島 もう、この「母」という競技をやめてほしいですよね。

河崎 競技!

小島 うん。レースに参加させられた気になっちゃうっていうか。

河崎 確かにありますね。

小島 だから、勝たなきゃ、みたいな気持ちに。より上のクラスに、2軍じゃなくて1軍に行かなくちゃ。1軍に行ったなら、そこでエースにならなくちゃ、って。
けど、そんな比較のできるものではなく……「母」は、子との関係をあらわす言葉でしかなくて、職業でも何でもない。
自分はこの子にとって母親なんだなと、それ以上でもそれ以下でもないじゃないですか。なのに、母親が肩書きになっちゃうんです。
母であることは私のアイデンティティとか、自分の存在証明とか……それを子どもでなく他者に向けて、レースに勝つために示さなくちゃいけないと思ってしまうのはなぜなのかって。さすがにその葛藤からはもう私は自由になりましたけど、やっぱり最初の子育ては、それがすごくつらかった。

河崎 他者から見られている自分の母親としての立場っていうのを、すごく意識せざるを得ないのは、日本にはあるかなと思います。
海外にいると、それこそ先ほどおっしゃったように、多様性の中にいますし、何と言っても自分、マイノリティですから。
自分のやってることがちょっとおかしかったとしても、「だって私日本人だし」みたいなふうに思えるんですよね。でも、やっぱりここはほとんど皆日本人じゃないですか。だいたい同じ髪の色、同じ目の色で。そうすると、その中での差別化をしなきゃいけないのかなとか、みんなはこのレベルにいるんだったら自分もそこまで同じことしなきゃいけないのかなとか、1人だけ遊離していることが許されないような気持ちにはなっちゃいますよね。

小島 レースに参加しないと置いていかれる気がして、全員参加の空気には抗いづらい。そこでしか差がつけられないなら、やっぱりシューズいいの履こうかな、みたいになりますよね。

河崎 高いの買っちゃおうかな、とか。

小島 そうそう。そこで差異を出さなくちゃいけないしんどさみたいなのは、ほんとおっしゃるとおりあると思います。
でも日本だけじゃないでしょう。オーストラリアでも、私学とか都市部の富裕層ではそういうママレースってあるんだと思います。私は初めから運動会の敷地の外にいるので「あ、すごい楽」とか思うわけですけど。ある階層内での承認欲求にとらわれている限りは、世界中どこにいてもしんどさは同じですよね。
抱っこした子どもがニコニコしていればそれでいいのに、“社会的評価の高い、まっとうな母でなくてはいけない”って悩んで苦しくなっている人はたくさんいるはず。
一度、自分はなぜ苦しいのか、これって本当に苦しむ価値のあることなんだろうかと冷静になってみてほしい。そしたら子どもに対しても聞く耳を持てると思うんですよね。
親の中に「なぜ」っていう問いがないと、子どもにも「なぜ」って聞いてあげられない。私の母が娘を他者だと思えなかったのは、彼女が自分自身を発見していなかったから。誰にも「あなたは誰? あなたのことをもっと教えて」って心から問われたことがないからだと思うんです。だから「私はママじゃないよ」と2千回言っても響かない。

河崎 キャッチするベースがないと。

小島 そうなの。それは彼女が問いを持たなかったからだと思うんですよね。いまだに誰かに認めてほしくて、すごく不安なんだと思う。かわいそうなぐらいです。
だからこの頃はひたすら母に質問して、子どもの頃の思い出話なんかを聞いている。もう、看取りの作業ですよ。めちゃ元気ですけど。質問するとうれしそうに話すんです。どんだけ孤独だったんだよと、泣けて泣けて。
ママのことを誰より知りたがっているのは子どもですから、他人の評価より子どもとの会話のほうがよほど救いになると思う。母子でお互いに「あなたは誰?」って尋ね合えたら最高ですね。

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