読者から寄せられた男の子の性にまつわるお悩みの数々。人にはなかなか言えない心配・相談に、産婦人科医 高橋幸子さん＆泌尿器科医 岡田百合香さんが回答してくれました。
教えてくれたのは
産婦人科医 高橋幸子さん
埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター 産婦人科医。年間120回以上、全国の小学校、中学校、高校にて性教育の講演を行う。著書に『サッコ先生と！ からだこころ研究所』（リトルモア）。LEEweb「私のウェルネスを探して」と、Podcast「宋 美玄さんの聴く婦人科診察室」の登場回も要チェック！
教えてくれたのは
泌尿器科医 岡田百合香さん
総合病院泌尿器科に勤務するかたわら、助産院などで「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」を行う。５歳男の子、1歳女の子の母。著書に『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』（誠文堂新光社）。
Q
３歳の息子がお風呂で、授乳時のように胸をくわえたがることが。やめどきがわかりません。
２人きりの入浴のときバブーなどと言いつつやっているので、甘えているのだと思って受け入れているのですが。（LEEメンバー もえきちさん）
「「おうちだけ」「何歳まで」など線引きを」（高橋幸子さん）
なかなか突き放せないと思うのですが、気になり始めたということは、線引きを決めるとき。例えば、公衆浴場で3歳の男の子がおっぱいをくわえていたら驚かれると思うので「おうちだけだよ」とか「何歳までだよ。それ以降はやめようね」と決めて息子さんに伝えましょう。異性の親と何歳までお風呂に入るかも同じですが、どちらかが違和感を感じたときが、見直すタイミングだと思います。（高橋さん）
「触っていいか確認するように伝えよう」（岡田百合香さん）
プライベートゾーンをどうしたいかは自分で決めていいので、ママが触ってほしくないときは断ってOK。3歳ならプライベートゾーンの教えどきなので、触るときには相手の許可が必要だと伝えるきっかけにも。（岡田さん）
Q
息子は女の子と遊ぶことや、女の子っぽい服装や髪型、しぐさが好きなよう。親としてどうサポートすべき？
多様な性が受け入れられやすい時代になりつつあるので、ダメなことだと思っているわけではないのですが、将来的にもこの傾向が続くとしたら、親としてどう本人に声かけしたり、周りに説明したらいいのかがわからず、戸惑いも…（LEEメンバー アキさん）
「親が否定せず、子どもの希望を周りに話す」（高橋幸子さん）
特に親世代は抵抗がある人もいると思うのですが、大前提として、まず親が嫌悪感を持たずに受け入れましょう。現段階で女の子っぽさが気になるぐらいであれば、息子さんが好きなことを否定しない、居心地がいいように環境を整えてあげることができるといいと思います。
年齢を重ねて性同一性障害かなと思ったら、早めに同じ境遇や気持ちでいる子どもたちとつないであげて。世界に自分一人かもしれないと思うと、より悩んでしまいます。あとは、学校にもきちんと伝えること。入学時点で女の子として入学させてほしいとか、最近は少しずつ変わってきていますが、制服が男女で決められている場合は、スカートとズボンを選択制にできないかと持ちかけてみるとか。子どもの希望をぜひ伝えてあげてほしいですね。（高橋さん）
Q
異性のきょうだいは、いつまで一緒にお風呂に入ってよいもの？
8歳姉、6歳弟のきょうだいで、今は一緒に遊びながら楽しそうに入っていますが、そろそろ別々に入らせるべき？ 入浴以外でも、異性きょうだいの気をつける点、配慮すべき点を知りたいです。（LEEメンバー たななさん）
「胸が膨らみ始める頃には別々に」（高橋幸子さん）
女の子は月経が始まる1年ぐらい前から胸が膨らみ始めるので、そのタイミングでは別々に入浴を。最近は兄が妹に性的行為をするというマンガが多く、認知のゆがみを抱える子も。知らない間にきょうだいで性器を触り合っていたなんてことも起こりうるので、注視してください。（高橋さん）
「恥ずかしがったり抵抗感を持ったらやめて」（岡田百合香さん）
お風呂が家族団欒の場となっている日本ならではの悩みなので難しいですが、どちらかが抵抗感や違和感を持ったら、年齢にかかわらずやめどきです。小学校に上がると、着替えやトイレは性別によって分かれますね。家庭でも小学校低学年までがひとつの目安だと思います。（岡田さん）
Q
２歳頃からペニスを床にこすりつけるようになりました。いわゆる“床オナ”状態で、かなり悩んでいます…
文献やネットで調べた結果、自然にしなくなるという言葉を信じていたのですが、５歳になった今も続けています。おそらく本人に性的な意味はなく、単に気持ちいいと気づいてしまったようなのですが、強めに注意してやめさせたほうがいいでしょうか？（LEEメンバー スヨンさん）
「人前ではしないこと、やさしく触ることを教えて」（高橋幸子さん）
自分の体を触るのは気持ちいいいことで、いけないことではないので、息子さんの行為は否定しないこと。そのうえで、プライベートなことだから人前ではしないように教えて。自室やふとんの中であれば、親が見つけてギョッとする機会も減るはず。また強すぎる刺激は確かによくないので「デリケートな部分だから手でやさしく触ろうね」とも伝えてあげましょう。（高橋さん）
「将来的に射精障害の心配も。早めに改善を」（岡田百合香さん）
〝床オナ〞は刺激が強いので、将来女性の腟内で射精できない腟内射精障害や不妊の原因になることも。思春期になったら親の目が届かなくなるので、目の前でやっている今が改善するチャンス。あくまで「触ることが悪いのではなく、触り方を変えようね」と話して。（岡田さん）
Q
ニュースなどで性犯罪について聞くと、男の子でも被害者になるのでは？と不安…
ショッピングモールなどの集合トイレだとママは一緒に入れないし、どうすれば？（LEEメンバー KMさん）
「恥ずかしいと思わず、トイレの外から声をかけてOK」（高橋幸子さん）
男の子が男子トイレで個室に連れ込まれるといったニュースも多いので、心配ですよね。ショッピングモールなどで子ども一人でトイレに行かせなければいけない場合は、外から声をかけてもいいと思います。身を守るためなので恥ずかしいと思わず「大丈夫？」「外で待ってるよ」などと大きな声を出しておくと、親の存在がわかるので、防犯につながるかもしれません。（高橋さん）
「多目的トイレを利用してもいいと思います」（岡田百合香さん）
私も息子が小さいので、すごくよくわかります。心配で女子トイレに連れていきますが、最近は「ぼくは男の子だから！」と女子トイレを嫌がることも。あれば多目的トイレを使いますが、異性の親子や子どもが安心して使えるトイレの整備が待たれます。（岡田さん）
男の子ママがぶつかる「性教育」のお悩み相談室次回は、「男の子ママがぶつかる「性教育」のお悩み相談室」男の子の心配なケースQ&A、ママはどうすれば？part2をお届けします！
撮影／HAL KUZUYA ヘア＆メイク／麻生ヨウコ（ilumini.） スタイリスト／高橋美帆 イラストレーション／あべさん 取材・原文／野々山 幸（TAPE）
こちらは2023年LEE4月号（3/7発売）「男の子ママがぶつかる「性教育」のお悩み相談室」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示（2023年3/7発売LEE4月号現在）です。
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