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30代40代からでも早過ぎない!整理収納アドバイザー中山真由美さん「終活のススメ」

  • LEE編集部

2022.08.25

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中山真由美さん

今回のゲストは、整理収納アドバイザーの中山真由美さんです。中山さんは、12年前の2010年に『LEE』のお片づけ企画で初登場し大反響を呼びました。その後も特集は大人気、2011年にはカリスマ整理収納アドバイザーとして『心も整う「捨てる」ルールと「しまう」ルール』(集英社)を出版。32歳で整理収納アドバイザーの資格を取得してからは、16年間仕事一筋で走り続けてきました。48歳になった今は「無理せず年齢に合った働き方」を大切にしていると言います。

中山さんと同世代はもちろん、30代でも日々の片づけはやその先にある人生の終わりに向けた整理=終活が気になっている人もいるはず。前半では、整理収納の基本の考え方と誰でもできる簡単なお片づけ術、終活のすすめ方について聞きます。(この記事は全2回の1回目です)

整理収納アドバイザーは「モノの手放し屋さん」

整理収納アドバイザーとして、これまで2000軒以上のお片づけをサポートしてきた中山さん。整理収納では、まずは不要なものを捨てる、次にモノが取り出しやすく戻しやすいシステムを作ることが基本とされています。システムができれば、モノの場所が決まり、入るモノの量が決まります。それによってモノを探す時間が減り、その余った時間が自分のために使えるようになります。1日5分探し物をしているとしたら、年間約30時間も無駄に使っているということに。中山さんは整理収納アドバイザーの仕事を「モノの手放し屋さん」と言います。

中山真由美さん

タイトル写真でも中山さんが持っていたこちらのバッグは、自らプロデュースした「RittaCarry PCケース付きお仕事トート」。働く女性がお仕事トートに求める軽さ、A4書類を折らずに収納、かっちりしすぎない、を叶えました。

「私たちはモノを手放す基準を伝えるんですね。お客さまの家に伺って開始10分で、手放すためのスイッチを入れます。私たちが捨ててくださいと言わずに、お客さまが自ら捨てると決める波を作る。その10分間で、その人の趣味や好み、生きてきた背景を見て、具体的にどんな暮らしがしたいか、どんな暮らしに憧れているかを確認します。自分が理想とする生活、未来をイメージすることで、無理なく手放せるようになります」

1度ではできなくても、繰り返しトレーニングすることで自分の中にその意識が刷り込まれていくそう。4、5回目頃には行動が変わり、自分で自然と手放すことができるようになると言います。人は生まれた時、持っているモノはゼロですが、年齢に比例してモノの量は増えていきます。右上がりに増えていくモノを一度整えて、あとは一定に保つ。そうすることで終活が楽になると言います。

中山真由美さん
「整理収納アドバイザーの世界では、4人家族で3500アイテム(本1冊1カウント、洋服1枚1カウントとし)内に収めると良いとされています。モノを決めたら、それ以上増えないように管理することで整った状態が保たれます。いざ人生の終わりに向けて片づけたとしても、ふだんから溢れるほどモノを持っていたら大変。手放すことを習慣化できたら、終活がよりスムーズにできると思います」

今すぐ始められる!整理収納のコツ

日々の片づけから地続きにある終活。そう考えると、まず始めなくてはならないのが今の住まいの片づけです。中山さんの体感として、全体の2割が片づけ上手、6割が普通タイプ、残りの2割が片づけられない汚部屋タイプだと言います。全体の8割を占める片づけが得意でない人や苦手な人におすすめ、今すぐ始められる、整理収納のコツを教えてもらいました。

中山真由美さん

Point 1

思い入れのあるもの、好きなものから整理を始めない

「『これ、大事なコレクションだったんですよ』『使っていないのに場所を取るのが申し訳なくて』と、好きなものから整理しようとする人がいますが、最初から大切なものや思いがこもったモノを整理するのは大変。まずは食品や数字が書いてあるもの(賞味期限があるもの)など、感情がないもから始めるとやりやすいです。一度に全部をやろうとせず『今日は冷蔵庫の中だけ』『瓶詰めだけ』『エコバッグだけ』など、整理する範囲を大きくしすぎないこともポイントです」

Point 2

洋服は7割収納を目指す。まずは1軍と2軍、3軍を分けること

「収納は、使った物をしまう場所。しまう場所が入れづらいと、しまうのが面倒になってしまいます。そのためには、まず洋服を一度全部出して、1軍、2軍、3軍に分けます。3軍はそのまま手放し、1軍はクローゼットやタンスに戻し7割収納を目標に。2軍はダンボールなどに別保管、1年間そのまま使わない場合は処分します。洋服を処分するときは、新しければ新しいほど売れやすく高い値段がつきます。早く手放すことができれば、メリットも大きいんですよね」



終活は気力も体力もある50代にこそやるべき

整理には、「区別する」「手放す」という2つの意味があるそう。片づけと言えば、捨てることが一番だと思われますが、まずはあるもの全てを出して区別、次に捨てるという流れになります。全体を見ることで自分が何をどれだけ持っているかを把握でき、同じモノを重複して買うことがなくなります。

終活といえば、もっと高齢になってからやるものと思われがち。でも「気力も体力もある50代にこそやるべき」と中山さんは言います。終活は、これまでの人生を振り返って、積み重ねてきたモノやことを向き合うこと。それによって、これからどう生きるのかを考えるきっかけにもなります。そんな50代の終活について、より詳しく紹介したのが、『人生の後半戦を思いっきり楽しむための50歳からのリセット整理術』(集英社)です。50代は、ファッションも暮らしも大きく変化を迎える時。そんな時に片づけをはじめるのが、ちょうどいいと言います。

中山真由美さん著書

「50代は、体型や生活の変化によって、洋服のワードローブが変化しやすい時期。クローゼットも3~5年先を見据えてリセットをすると良いでしょう。キッチンは年齢を重ねるにつれ、取り出しにくい場所、分かりにくい・見えにくい場所が増えてきます。重複買いを防ぐよう、分かりやすい保管や収納をして、負担の少ないキッチンにするのが理想。また子どもが自立したら、子ども部屋を自分の部屋や夫の部屋に変えるのも良いですね」

高齢親への片付けのアドバイスは「安心・安全」を強調

一方、30代40代でも両親・義両親の終活が気になっている人も多いはず。高齢の親に片づけのアドバイスをするなら、「安心・安全」「話すことでモノへの気持ちを成仏させてあげる」ことが成功のポイントだと言います。

「片づけを始める前に、『家の中で事故がないように、安心・安全に過ごせるように使うものだけにして取り出しやすくしよう』と声をかけるのがおすすめです。大事にとってあったモノは、そのストーリーや思い出を聞いてあげることで気持ちを成仏させます。例えば、タッパーウェアをたくさん持っている人なら、『タッパーウェア、すごくたくさんあるね。どうしたの?』『大切に使いたいから数を減らそう』というアドバイスもできます」

中山真由美さん

中山さんオススメの「くつした整理カップS 4P」。必要な数だけ縦にも横にもどんどん増やせる連結カップです。靴下以外の収納にも!

ある程度片づけができたら、“ちょっとしたご褒美”もおすすめ。「お片づけのモチベーションが上がるように、使いやすい収納道具をプレゼントしてあげましょう。卓上や小物収納に使うなら、無印良品のポリプロピレン収納キャリーボックス、ニトリのハコブNインボックス オフィスなどがおすすめ。新しいグッズがあることでテンションもアップして、片づけが楽しみになります」。

人生を逆算して、面倒なことを先にやる

中山さんは30代で離婚を経験しました。その時から「20年後、30年後自分は何ができるんだろう」と考えるようになったと言います。面倒なことは後回しでだったのが、整理収納と出会ってからは考え方に、変化があったと言います。

中山真由美さん

「人生を逆算して、面倒なことから先にやっていこうと思うようになりました。それで40代50代を過ごしたら、60代はきっと素敵になるんじゃないかと思って。終活を若いうちからやっておくのも、同じことですよね。20代でも30代でも、何歳からやってもいいんです。そうしたらこの先、60歳になった時が黄金期になるんじゃないかなと。郷ひろみさんも“60代は黄金期”って言ってましたから(笑)」

(インタビュー後編につづく)

中山真由美さんの年表

1974年 神奈川県横須賀市に生まれる
18歳 高校卒業後、ホテル業界に就職
金融会社に転職
21歳 結婚、2DKのアパートで暮らす
22歳 自分の親と二世帯住宅で暮らすように
23歳 長女出産、退職
26歳 長男出産
30歳 離婚、住宅メーカーに派遣社員として復職
31歳 インブルーム株式会社に転職
32歳 自宅の片づけを機に、片づけに目覚め整理収納アドバイザー2級を取得。インブルームに、整理収納サービス部門を立ち上げる
34歳 整理収納アドバイザー1級を取得
36歳 LEEに初登場し、大反響を呼ぶ
37歳 『心も整う「捨てる」ルールと「しまう」ルール』(集英社)を出版
38歳 再婚、1年間の週末婚を経て同居する
40歳 『人生の後半戦を思いっきり楽しむために 50歳からのリセット整理術』(集英社)を出版
45歳 インブルーム株式会社退社。働き方改革と自分が目指す整理収納を進むためRittaStanz整理収納アドバイザーとして活動
48歳

(2022)

整理収納サービスを訪問とオンラインで展開。また、大手企業の5Sコンサルティングや、整理収納アドバイザーさんの若手教育&起業コンサルティング、ハウスキーピング協会の協力団体として子ども向けの講座構築。4月より整理収納アドバイザージュニア2級講座Start

 

中山真由美さん


撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子

おしゃれも暮らしも自分らしく!

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1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
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