今週も産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト連載「宋美玄さんの聴く婦人科診察室」の時間がやってきました！　女性ならではの心や体のお悩みを解決したり、性にまつわる最新事情を解説したりと、充実の内容でお届けします。今回は読者からのお悩み「セックスレスになる夫婦、ならない夫婦の差はどこにあるのでしょうか？」にお答えします。お仕事や家事の合間にぜひお聴きください！

LEE読者の40％が半年以上セックスなし

LEEweb編集長の畑江が昨年、LEE本誌で特集「セックス白書」を企画していたときの話。「打ち合わせ中に『セックス白書』だけど『セックスレス白書』になっちゃうかもねーなどと盛り上がり、『セックス』と『白書』の間に（レス）って書いたんですよね。その後、実際に担当者が読者アンケートを取ったら……LEE読者の40％が半年以上セックスなし、という結果だったんです。ちなみに子どもがいる夫婦より、いない夫婦のほうがレスは深刻でした」。

産後で痛い、子どもと川の字だからそんな気になれない、といった体調や状況がセックスレスを招いているケースが多いのが、30〜40代が多いLEE読者ならでは。「夫婦が1カ月間特別な事情なく、セックスをしていない状態」をセックスレスと定義します。今回の質問内容もそうですが「セックスレス問題を語るとなぜか『自分がセックスをしたい／したくない』よりも、『他の夫婦がしているかどうか？』が気になってしまったり、『他の夫婦もレス』と聞いて安心したり……と、余所の夫婦と比較せずににいられない人が多いのは一体なぜなんでしょうね？」と宋さん。

結婚や出産はセックスレスのリスク

女性誌でセックスレスについて取り上げると「夫に誘われない私、どうすれば解決する？」という方向性の記事が多いのに、男性誌でセックスレスについて取り上げると「妻がさせてくれないなら、外で浮気をする」という方向性の記事が多い傾向があります。前出のLEE本誌の特集内に掲載された「セックスレス夫の覆面座談会」でも、セックスレスを許容している夫達は全員浮気していました。

「性欲というものは、全世代において女性より男性の方が多めなんです。結婚や出産はセックスレスのリスクになります。男女が同居をすると、それまで週1ペースでデートしていたのが四六時中一緒にいるようになり、逆にセックスをするタイミングが分からなくなります。それに、産後は個人差があるにしても、女性ホルモンが激減して膣が乾き、感度が悪くなります。授乳をすればプロラクチンという母乳を作るホルモンが分泌され、さらに性欲減退します」（宋さん）

少しずつ手をつなぐ、ハグするなどスキンシップを

妻がそんな状態なのに、ろくに育児に参加もしていない夫から夜だけ「そろそろいいだろ？」と言われたら……。身体も心もきちんとケアしてもらったうえで、再開してほしいものです。そのような妻側の恨みがセックスレスに繋がる夫婦も多いのでは、と宋さんは分析します。

以前、宋さんのクリニックにセックスレスのカウンセリングにきた50代の夫婦の妻も、やはり出産時の恨みつらみを何十年も抱えていました。が、夫は「僕全然覚えてないんですよ」。この夫婦の場合、カウンセリングを進めるうちに、実は双方ともセックスを再開したがっていることが分かりました。しかし、夫婦の片方だけが再開を望み、もう片方は一切再開を望んでいないケースも少なくないそう。宋さんはカウンセリングの際、いきなりセックスを再開するのではなく、少しずつ手をつなぐ、ハグするなどのスキンシップをすることを提案します。

「川の字問題」は柔軟に対応を

「『川の字問題』は、子どもが寝た後別室で、子どもに個室を与えるなど、柔軟に対応を。子どもの横で……はオススメしません。もし“今、どうしてもその気になれない”と妻が断ったら、次は妻の方から再開を切り出しましょう」と宋さん。ですが、妻が「絶対無理！」と思っているのに「たまには夫の相手もしてあげないと」となるのは大問題。「したくない」という意見も尊重しなくてはなりませんし、夫婦間の歩み寄りが大事です。終わりのないセックスレス問題、引き続き読者の皆さんからのお便りをお待ちしております。

（次回は7月30日〈金〉18時配信です、お楽しみに！）

宋美玄さんへの質問を大募集！

宋さんへの質問や番組へのご感想は、専用メールアドレス（fujinka@lee.hpplus.jp）宛にお送りください。

イラスト／鹿又きょうこ