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子どもと一緒に過ごせるのは1日3時間だけ。この時間を充実させるには?【薄井シンシアさんの「育児書を捨てよ、子どもを見よ!」第6回】

  • 薄井シンシア

2020.05.24

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今こそ生活スタイルを見直そう!

新型コロナウィルスによる緊急事態の中、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

今回は、こんなときだからこそ、「子どもとの時間の過ごし方」について一緒に考えてみたいと思います。

一部の地域を除いて、非常事態宣言が解除されました。まだ予断を許しませんが、これから徐々に学校生活も再開されます。

元のリズムを取り戻すのは大変かもしれませんが、日常に戻ったときに慌てないように、今一度、生活スタイルを見直しましょう。

連載の第1回で、私は自分の子育ての心構えを次のようにお伝えしました。「子育て期間はわずか18年間しかないのだから、この時間をできる限り楽しく、幸せな気持ちで過ごしたい」と。みなさんも、きっと同じ思いなのではないでしょうか?

子どもと過ごす時間は1日3時間!?

しかしこの18年間さえも、実質的に計算すると、子どもと過ごす時間はさらに短くなります。例えば、1日にあなたがお子さんと過ごす時間はどのくらいあるでしょうか? 小学生のお子さんであれば、共働き家庭の場合、学校を3時頃に終えると学童へ行き、6時前後に帰宅、就寝は9時頃でしょう。朝は慌ただしく時間が過ぎていってしまいますから、そうなとなると、親が子どもと過ごせる時間は1日たったの3時間です。さらに、これを18歳になるまでの間で計算すると、休日を加えたとしても、子どもと過ごせる時間はトータル3、4年に過ぎません。

このように、平日の1日で子どもと過ごせるのは、たったの3時間程度しかないのです。この貴重な時間を、あなたはお子さんとどのように過ごしたいですか?

何よりもまず、ケンカだけはしたくありませんよね。私も、これを肝に命じていました。怒ったり、言い争って過ごすなんて、もったいない! ケンカをしたりイライラしている暇があったら、5分でも10分でも長く子どもとゆっくり向き合って、今日1日の出来事を話したり、宿題のサポートをしてあげるほうが、ずっと有意義でハッピーでしょう。

「家事のスリム化」で時間を生み出す!

ただ、忙しい親御さんにとって、この10分をどうひねり出すかは、なかなか大変な問題だと思います。でも、方法はあるんです。カギは、ズバリ「家事のスリム化」。家事の時間をともかく減らすのですね。

ときどき、子育て中の親御さんから、「子どもと過ごす時間が足りない」とか「一緒にいても、思い通りにいかなくて、お互いがイライラしてくる」という相談を受けるのですが、よく聞くと、どうやら家事に追われ、そのしわ寄せが、子どもや子どもと過ごす時間にいっている場合が少なくないのですね。

私は専業主婦だったので、一見、家事にたっぷり時間をかけていたように見られるのですが、それは少し違います。私の場合、娘が3時に帰宅してからの時間はすべて娘と一緒に過ごしたかったので、料理の仕上げ以外の家事はほとんど、午前中にできるだけ短時間ですませる工夫をしていました。もちろん最初からできたわけではなく、努めて家事のスリム化に取り組んだ上での結果です。家事のムダを省きそれをルーティーン化したおかげで、時間に追われるストレスから解放され、時間的にも精神的にも、娘とゆとりを持って向き合えるようになりました。私のこのスリム化作戦は、今の忙しい親御さんにも参考にしていただけると思います。

家事時短、3つのポイント!

では、どのように「家事のスリム化」を図るのか? 目標は、家事の3割削減。今まで1時間かかっていたのであれば、それを40分程度に減らせるように、家事を含め、まずはあなた自身の3時間を見直してください。ポイントは3つです。

1 今現在の3時間の過ごし方を書き出す

家に帰ってから子どもが寝るまでの時間、あなたはどのように過ごしていますか?
この3時間に、あなたとお子さんがいつ何をしたかを時系列で書き出してみてください。その中で、やるべきこと、やりたいこと、やらなくてもいいことの優先順位をつけてください。やらなくていいことは、真っ先に3時間から除外できますね。

2 家に帰ってからの動線を見直そう

帰宅してからあなたはどのような動き方をしていますか? 家の中をあちこち行ったり来たりしていませんか?
靴を脱ぐところから、その後自分がどう動いたのかを追跡してみると、ムダな動きが見えてきます。例えば、バッグなどを置く場所や服の着替え場所は? 収納場所が分散していると、それだけ余分な動作が増えてしまいます。

ちなみに私は帰宅後、すぐに手を洗って、キッチンに直行します。そして鍋に火をかけます。その間に、着替えをするのです。それでもう夕食の1品ができてしまいます。また、鍋の置き場所ひとつ変えるだけでも、1アクション減らすことができると思います。ムダなアクションを減らすことが、時短のキモ。1アクションは数秒程度ですが、積もり積もって大きな時間のロスになります。あなたの動線やモノの配置、収納方法などを見直してみましょう。

3 一つひとつの家事内容を見直そう

一つひとつの家事に、手間をかけすぎていませんか? 習慣化した作業の中には、無意識のうちに、やる必要のない手間をかけているものです。例えば、料理。手間ひまをかけることがよいという風潮もありますが、私は、必ずしもそれがよいとは思いません。品数が増えればその分洗い物が増えますし、揚げ物が多ければ油の処理にも手間取ります。私なら、料理や片付けの時間を増やすより、子どもとおしゃべりしながら一緒に食事をする時間の方を選びます。品数は少なくてよいし、ワンプレートや丼スタイルでいいのです。1週間のメニューを固定化してしまえば、献立にあれこれ悩む必要もありません。忙しいときは、カレーが続いてもいいのだと、そういう割り切りが、ときには(とくにお子さんに手がかかる間は)必要だと思います。

Bucket with cleaning items on blurry modern kitchen background. Washing brush and spray set with copy space.

頭を使わなくてもできるくらいパターン化する

私は、上記のような作業を通して、自分の家事の進め方の基本パターンを作り、それを徹底的にルーティーン化しました。できるだけ余分な動きをしないですむ動線を作り、ひとまず決めた手順どおりに家事を実行してみる。収納の見直しなどで、場合によっては初期投資も必要でしょう。不具合があればその都度調整する必要も出てきますが、それでも自分に合った家事の基本パターン=土台を一度作っておけば、必ず、あなたの子育てを楽にします。それが、頭を使って行動する必要もないほど習慣化すれば、今よりもっと子育てに注力することができるのです。余裕が生まれ、イライラすることも減るでしょう。そしてお子さんと一緒に過ごす時間がより豊かなものになるはずです。

私が、娘と一緒にいる時間を大切にしたのは、それ自体が楽しかったというのが一番です。娘が帰宅してから寝るまでの時間、おやつを食べておしゃべりし、一緒にお風呂に入ってまたおしゃべりし、夕食を食べながら日本のテレビドラマを見て(第2回参照)、小さい頃には就寝前、読み聞かせをした後、娘は眠りにつきました。本当に楽しかった。しかもその間に、 私は娘についてたくさんのことを知りました。今日、娘が学校で何を習い、お友達とどんな遊びをしたか、困ったことや悲しかったことはなかったか……。こういう時間が娘への理解を深め、彼女に合った子育てのやり方を考える土台になったのは、言うまでもありません。

一日のうちで3時間しか子どもと一緒にいられないと思ったら、無駄にできる時間なんて1秒たりともないですよね。今からもで遅くはありません。ぜひ、家事を見直して、あなたとお子さんの時間を充実させてくださいね。

次回は、「家事のスリム化」に関する具体的な悩みにお答えします。

構成/鵜養葉子

【質問募集】
子育てのお悩みについて、シンシアさんへの質問を受け付けています。どんな些細なことでも構いません。ぜひお寄せください。採用された方には、図書カード(500円)をプレゼント致します。

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薄井シンシア Cynthia Usui

17年間の専業主婦生活の後、「給食のおばちゃん」からラグジュアリーホテル勤務を経て、現在は大手外資系企業で働きながら、講演活動や出版活動も行う。著書に『ハーバード、イエール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたかママ・シンシアの自力のつく子育て術33』(KADOKAWA)、『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』(KADOKAWA)がある。

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